【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島”ブドウを育てワイン醸造

株式会社いとしのいとしま㊦  代表取締役社長 馬淵 崇さん(44)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動している企業や団体を取り上げ、魅力を紹介しています。工学部3年の川原亮太が前回に引き続き、糸島の地魚にこだわった飲食店などの事業を展開する株式会社いとしのいとしま代表取締役社長の馬淵崇さん(44)に、お話をうかがいました。今回は、糸島市二丈松末で行っているワイン醸造についてフォーカスしました。

ワイン醸造用のブドウを育てる馬淵さん

-2024年7月に糸島初のワイナリーを開業されましたが、どんな思いで始められたのですか。

 「もともと、地魚の価値をより多くの人に知ってもらうために、地魚に合うお酒を造りたいと考えていました。数あるお酒の中でワインを選ぶ決め手となったのが糸島の漁業関係者と19年に訪れたスペイン・バスクの視察です。バスクの人々は地元の食材と地ワインであるチャコリの食文化に強い誇りを持っており、その魅力を求めて世界中から観光客が集まっていました。その光景を目にして、『糸島でも同じように、地魚の魅力を伝えることができるのではないか』と感じ、ワイン醸造に挑戦することを決めました。そして、県外のワイナリーに通ったり、広島県の酒類総合研究所で寮生活を送りながら講習を受けたりして醸造を学びました」

-糸島では醸造に使うブドウを生産するため、2022年から苗を植えられているそうですね。

 「実は、糸島の気候は温暖で湿潤なため必ずしもブドウ栽培に向いているとは言えません。しかし、バスクも恵まれた気候ではなかったため、『糸島でもきっとできる』と思いました。さらに調べてみると、かつて糸島市内でもブドウ栽培が行われていた歴史があることを知り、先人の挑戦に勇気をもらいました。そして、後押ししてくれる地元の若手農業者と一緒に荒れ地を切りひらき、苗の定植には『地魚BANK』の大勢の仲間たちが協力してくれ、感謝の気持ちでいっぱいです」

-ワイン醸造の進捗(しんちょく)状況はどうなっていますか。

 「醸造は昨年7月から始め、現在は糸島市や福岡市の飲食店を中心に卸し始めています。糸島産のブドウ100%でつくったワインも今月からリリースしています。将来的には、現在自社農園で育てておりスペインなどの海の近くで栽培される『海のブドウ』と呼ばれるアルバリーニョやシャルドネを使ったワインづくりにも挑戦していきたいと考えています。これからも、地元の人や仲間たちと一緒になって楽しく活動したいと思います」

店頭で販売しているワイン

取材を終えて

 地域の課題を解決していくためには、何よりも地域の方々からの信頼が欠かせないことを実感し、そのために誠実に向き合う姿勢が重要だと学びました。

《メモ》
 糸島マスエワイナリ・住所=糸島市二丈松末712-1

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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