容器再利用の栽培
早いですね~。2025年もあと1カ月をきり、寒さも本格化してきました。秋に仕込んだハクサイやシュンギクやミズナは寒さで一段とうまみを増し、鍋料理で大活躍していると思います。12月の園芸も、野菜系は収穫が中心。あとは、庭木や果樹を育てておられる方は剪定(せんてい)作業などが重要な時期になっています。
しかし、ここで、ちょっとアイデア。寒くなると、温かい麺類がおいしくなります。そこで、カップ麺の消費を総務省統計局の家計調査などのデータ、2023年版で調べてみました。一番支出金額が大きい月は12月。次いで10月。12月は年末のため、何かと忙しくなり短時間で調理できるカップ麺が好まれて食べられているのかもしれません。もちろん寒い時期の方が温かいカップ麺を食べる機会が多いと言えますね。12月は大量のカップ麺容器が廃棄されていることを前提に、カップ麺容器を再利用しての野菜栽培をご紹介いたします。

総務省統計局の家計調査などのデータより引用
まず、食べ終わった容器をよく洗い、底のへこんだところに、5~6カ所の排水用穴をあけます。市販の培土をたっぷり入れ、水を入れ、乾いた土を潤いさせます。次に苗植えか種まきをします。そのあとは、冷たい雨風があたらない場所で10日ほど管理してください。
おすすめの野菜は、サラダカブやラディッシュ、ミズナ、利用しない根部をカットしたネギなどで、比較的寒さに強く育てやすい野菜です。この時期は、寒さと日照時間が短いため、生育はかなり遅くなりますが、病害虫の被害に遭うことがないのが利点。乾いたら、たっぷりと水を与え、軽く追肥をしてあげます。理想は室内の明るい場所に置くのが良いのですが、外でなるべく、明るく、寒さから守れそうな場所、例えば車庫の明るい所や、ベランダの冷たい風が当たらないところが良いでしょう。


寒さの中で、たいへんゆっくりとした生育ですが、青々した葉が美しく、収穫が楽しみになってきます。また、追肥は、2年前の2023年12月8日号でも取り上げた、ゆっくり肥料が溶け出す「緩効性肥料」がおすすめです。1鉢に5個目安で土の上に置くだけで生育に必要な養分が供給できます。
カップ麺の容器は、多くの自治体でリサイクルできませんね。リサイクルできない理由は、汚れや油分、防水加工や複合素材が原因で、分別収集の対象外となるためだそうです。カップ麺容器の素材は、断熱性や保温性が高く、軽くて丈夫なので、野菜のポット栽培には最適とも言えます。容器の再利用で葉物野菜を育て、身近なSDGsを楽しんではいかがですか。
(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)
=糸島新聞ホームページに地域密着情報満載
※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。


