【糸島市】発行の力、笑顔の源

「食べる健康法」として注目

みそ汁、高菜漬け、たくあん…

 みそ汁、高菜漬け、たくあんー。いずれも微生物の働きによって時間をかけて発酵し、味わいを深める日本の食卓に欠かせない発酵食品だ。発酵食品は腸内環境を整え、免疫力を高めるとされ、昔の人の知恵が詰まった「食べる健康法」として改めて注目されている。

 糸島市志摩で、昔ながらの手作りにこだわったみそや漬物を製造・販売するマルセン食品。樗木タツエさん(85)は、みそを仕込み、漬物を作り始めて約45年になる。

 たくあんの仕込みが本格化する冷え込みの厳しい1月21日、漬物製造施設には、天日干しされた大根のやさしい香りが満ちていた。たくあん用の大根が干し上がり、この日から漬け込み作業が始まった。

 干し上がった大根は、縦1.6メートル、横2.1メートルで、人の背丈よりも深く掘られた地中のタンクに、息子の弘道さん(50)が1本ずつ丁寧に敷き詰めていく。タツエさんは、1杯25キロ以上あるコンテナを持ち上げ、タンクへ入れる役目を担う。

タンクに敷き詰めた干し大根に糠を振る弘道さん

 一段並べ終えると、米ぬかに塩、色付けのウコンや赤唐辛子、甘みを添える干し柿の皮などを配合した糠(ぬか)を振りかける。この作業を繰り返し、3,400キロの大根を漬け終えると、一つ300~400キロもある漬物石を、大根と同量分、機械で載せていく。こうして、じっくりと発酵を待つ準備が整った。

 コンテナの大根を手に、タツエさんは「こんなに上手に干し上がったことはない。この、ふわんふわんとした触り心地がたまらない」と目を細める。昨年はイノシシ被害に悩まされたが、今年は天候に恵まれ、畑の大根は立派に育った。冷たい風が通る畑では「普段なら20日くらいかかるのが、今年は10日ほどで乾いた。こげんなることはめったにない」と、自然の恵みとお天道様に感謝する。

大根の出来も干し上がり方も最高よと笑顔を見せるタツエさん

 温度変化の少ない地中のタンクでゆっくりと発酵が進むと、香りやうまみが引き出され、2、3年後に商品として出荷される。

 「ほんなもん、昔ながらの漬け方。若いころからみそ漬けやら大好きでね。自分で漬けたものを販売するようになって、あっという間の45年。遠方へのおみやげにと、たくあんを買ってくれるお客さんがいるのには驚きます」と、タツエさんは笑顔を見せる。

 畑で野菜を育て、かくしゃくとみそや漬物を作り続けるタツエさん。発酵食品をこよなく愛し、笑顔とともに届けるその暮らしこそが、タツエさんの健康の源だ。 

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

目次