茶房おやきと
可也山を望む窓辺に、やわらかな光が差し込む。昨年5月、糸島市志摩久家にオープンした「茶房おやきと」は、信州の郷土食「おやき」を味わえるカフェだ。還暦の節目に新たな一歩を踏み出した猪口啓司さん(60)が、糸島の食材を中心に使い一つ一つ手作りしている。

販売支援やデザインの仕事で、全国の生産者や食の職人と向き合ってきた猪口さん。約20年前、仕事を通じて出会ったおやきに「土地の暮らしが詰まっている」と心を動かされた。コロナ禍や自身の大病を経て「これからの人生の柱を探す中で、自然とおやきが浮かんだ」と振り返る。「糸島の食材を使って、おいしさや旬を表現できる。可能性は無限です」
皮には糸島産小麦を使い、天然酵母でじっくり発酵させる。その日の温度や湿度に合わせて配合を微調整。午前5時、早い日は3時から仕込み、焼いて蒸して丁寧に仕上げていく。
具は、糸島豚の粗びきキーマカレー(380円)やハーブチキンとポテトチーズ(360円)など定番4種に、季節の1種を加えた5種類。3月は、糸島・小富士の梅干しとあんこを合わせた一品が並ぶ。

ころんと丸い生地を割ると具がたっぷりと顔を出す。口にすると、小麦のほのかな甘みと具材のうまみが重なり、どこか懐かしく、それでいて新しい。
店名の「と」には、「おやきと人」「おやきと生産者」「おやきと地域」といったつながりへの願いを込めた。「開店以来、地元の人が寄り合いのように集まってくれるのがうれしい。これからも暮らしのそばにある味を提供したい」。おやきを真ん中に、人と人、思いと思いをやわらかく結ぶ場所になっている。
茶房おやきと
住所 糸島市志摩久家1756 monogocoti2階
営業時間 月・木・金は10:30〜15:00
土・日は10:30〜17:00
インスタグラム
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
