【糸島市】カイガラムシ/冬場が最適な防除時期

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かんきつ類のすす

【ドクター古藤の園芸塾】 6

かんきつ類のすす

 この時期になると「ミカンの葉が黒くすすけてしもうた」「葉の付け根に白いのがいっぱいわいとる」「梅の枝に丸いアズキみたいなのがいっぱいくっついとう」などといった相談を多く受けます。
 冬の寒さが本格化してくると、柿やヤマボウシなどの落葉系樹木類は、葉をどんどん落としてくるため、枝についた白い物質などが目立ち始めます。常緑のミカン類では、収穫が遅い晩白柚などの実や葉が黒くすすをかぶった様子が多く見受けられます。
 原因は 「カイガラムシ類」 の仲間が多発したためと考えられます。厄介なのが、体がろうやワックス状の物質で覆われ、乾燥や風雨、外敵などから身を守るよろいの役割を果たし、薬剤が効きにくく、植物の表面に固着し、特に通気が悪いところに居座って退治しにくい害虫の一つです。
 発生密集度が高く、樹木類に取り付くと枝葉から吸汁し、生育が停滞するなど悪影響を及ぼし、そのまま放置しておくと柔らかい枝は枯れていきます。
 大量の糖を含むカイガラムシの排せつ物によって、すす病が発生し、葉が黒くなり、植物にとって大切な光合成が妨げられます。生育が弱まることで、免疫力が低下し、他の病虫害が発生しやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
 また、排せつ物に含まれる糖分はアリの大好物で、アリがエサとして糖分を集めるとき、カイガラムシの卵も同時に運んで行きます。広範囲に動けないカイガラムシがアリを媒介として、繁殖範囲を広げてしまっているのです。


 植物も休眠している冬は最適な防除時期です。お薦めは油の粘性を利用し、皮膜によってカイガラムシを窒息させるマシン油乳剤。マシン油に乳化剤を添加したもので、価格が安く環境に優しい防除剤です。かんきつ類なら40倍、梅などの落葉果樹類は濃いめの20倍に希釈し、枝、樹皮全体に、むらのないようたっぷりと散布して下さい。樹木の芽が動きだす前に散布を終えるのがポイントです。散布例では40倍希釈は500ミリリットル入りでしたら、20リットルの水で希釈します。
 手で届く範囲なら、不要歯ブラシなどでこすり落とす裏技も有効。成虫の脚が退化しているため、再度固着できないからです。
 通気や採光がよくなる剪定(せんてい)を行なうことも大切ですし、暖房が効いた室内の観葉植物では、年間を通じてのカイガラムシの成育が続くことがあります。
 吸汁性(カイガラムシやハダニなど)の害虫は、非常に繁殖力が強いので、防除が後手に回ると対処が難しくなります。ご用心ください。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2022年12月23日付

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この記事を書いた人

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