明和製作所㊤ 社長 生野 岳志さん(63)
このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで活動している企業や団体を取り上げ、魅力を紹介しています。今回は、共創学部3年の加藤千穂がカスタム設計で顧客に合わせたモーターづくりをしている明和製作所 社長、生野岳志さん(63)に、改革に取り組むことを重視しながら、新たな挑戦を続ける経営戦略についてうかがいました。

-御社ならではの生産体制があるそうですね。その特徴的な「ものづくり」についてお聞かせください。
「当社は、1980年代まで三菱電機の下請けとして電気工具を造っていました。現在は、その時に培った設計技術製造ノウハウを生かして、小型中型モーターを中心に生産しています。1990年代から、製造業では、いかに安く大量に造るかという部分が重要視されてきました。こうした流れの中で、当社は中小企業ならではの小ロット、カスタム設計で、設計から製造までを自社で行う、一気通貫体制に力を入れています」
-小ロット・カスタム設計にはどのような特徴があるのでしょうか。
「小ロットでしか注文できないニッチなニーズに寄り添います。外注しようとすると多量からでしか受注してくれないところも多くあります。当社では、顧客のニーズや要望に合わせて、ほとんどを工場の中で造り、自社で製造する部品の割合を高めることにより、より低価格で製品づくりをしています。また、カスタム設計では、顧客の用途に応じた専用設計モーターを共同で開発しています。日本で取り扱われているモーターのうち、国内で製造されているのは10%程度と、海外製のものが大半となっている時代です。こうした中、当社では、Q(品質)C(コスト)D(納期)をバランス良く運用することで、顧客に満足していただけるようにしています」
-2006年に、社長に就任されてから、さまざまな改革を行なってこられたそうですね。
「就任した当初は、バブルが崩壊した後で、経営状況を改善するために『明和維新』として、改革を推し進めていきました。経営理念の見直しなど、製造業の基本を確認することから始めました。その後も、リーマンショックや世界の各地での戦争、コロナ禍などによる不況が押し寄せましたが、激しい荒波こそが改善の意識を高めて人を育て上げ、技術力を高めていきました。だからこそ、ピンチは発展のチャンスと捉えて改革を行っていくことが大事だと考えています。『誠実』『創造』『明和』という企業理念に沿って、ものづくりを続けています」

次回は、4年後の創業70周年に向けて取り組んでいる新たな挑戦についておうかがいします。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)