市消防本部 スキル向上を確認
糸島市消防本部は8月20日、同本部で、消防本部強化計画に基づいて新設された特別救急隊と5台目の救急車導入の成果報告会を開いた。
初めに月形祐二市長が、同計画の柱となる両事業は長期総合計画と自身の「防災力の強化」という公約を実現するものであり、「市民の負託に応えるためにも、実効性のあるものになるよう訓練を重ね、市民の生命と財産を守るという最大のミッションを遂行してほしい」とあいさつ。
今年2月に発足した人命救助のスペシャリスト集団「特別救助隊」の活動状況について、同本部救急課の和田清二救助係長が「コロナ期を除く近年の救助出動件数は70~80件で推移し、今年7月末現在で49件。救助件数は10年前の1.8倍に増加し、特別救助隊発足後、すでに38回出動している」と説明。
さらなる災害対応力強化のため、大規模災害を想定した訓練などに取り組んだことを挙げ、「我々の職務にゴールは存在しない。さらなる成果を求め、これからも最新知識と高度な技術の習得、心身の鍛錬に努めたい」と締めくくった。
同課の仲西靖之課長補佐は、直近3年間の救急出動件数について、「22年の4,990件から23、24年は5,000件を超える高水準で推移。内訳は急病、一般負傷、転院搬送、交通事故の順で多く、特に市の地域特性として、福岡市内の高度医療機関への転院搬送が多いため、1件当たりの出動時間が長時間化し、救急車の現場到着時間短縮における大きな課題の一つとなっていた」と述べた。
このような課題に対応するため、2024年3月に導入された5台目の救急車は、主に平日の日勤帯に運用され、25年7月31日現在で255件出動し、うち240件が転院搬送に従事。運用開始からわずか1年ほどで、23年に8.8分だった現場到着時間が24年は8.6分と0.2分短縮。
全国平均の10.0分と比較しても短く、仲西課長補佐は「救急出動件数が増加する中で時間短縮を実現できたことは、5台目導入の大きな成果」などと報告した。
続いて救急隊が、傷病者の心肺蘇生から搬送開始までの流れの訓練を披露=写真。特別救助隊は災害現場などで使用する資機材について説明を行った。

進藤俊典消防長は「複雑多様化、高齢化する社会に柔軟かつ的確に対応できるよう、消防、救急、救助の各分野において訓練を重ねてスキルアップを図り、市民の安全、安心に寄与していきたい」と強調した。
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