【糸島市】“九大生が聞く!!ビジネス最前線 in糸島”港の「車止め」主力にモノづくり

未来航路株式会社社長㊤  社長 河原 良平さん(48)

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動している企業や団体を取り上げ、魅力を紹介しています。今回は、共創学部3年の加藤千穂が全国各地で使用される港湾・漁港用車止めを製造する未来航路株式会社社長の河原良平さん(48)に、さまざまな現場で、さまざまな人が抱える課題の解決に向けたモノづくりについてうかがいました。

車止めの模型を持つ河原社長

-主力製品である車止めを生産されるようになった経緯をお聞かせください。

 「日本がウォーターフロント開発に力を入れるようになっていた1987年、先代である父が起業し、最初に造っていたのは、港の転落防止柵でした。その後、港の車止めを手がけるようになり、那覇空港の整備の際に採用され、事業拡大の弾みとなりました。旅客船やコンテナ船による海上輸送が増えていく中、国による港湾整備が進み、車止めの需要が高まっていきました」

-生産されている車止めには、どのような特長がありますか。

 「港の車止めには、雨水を海に流すため、30センチの間隔を空けて設置する規定があります。しかし、先代は、それだけでは雨水がうまく流れないことに気づき、本体の下部に隙間を設けて排水性を高めて改良しました。従来の製品よりコストがかかり、最初は製品の特長や効果を理解してもらうのに苦労しましたが、実績を重ねていくことで多くの自治体で採用されるようになりました」

-「お客様の『課題解決』カンパニー」という経営理念を掲げられていますね。

 「当社では常に現場の意見からアイデアを生み出しています。現場にはさまざまな課題があり、例えば、船に給水するための配管が露出しないよう車止めの中に通したり、着船時に車止めの移動ができるようにしたりと、現場のニーズに合わせて改良を続け、現在では車止めだけで8種類を製造しています。また、当社車止めは取り外しが可能なため、2005年に発生した福岡県西方沖地震の際、他の車止めが被災し利用不可能になる中、取り外して新しく整備された岸壁に再利用することができました。この事例から、長期的に見るとコストが削減できると証明でき、注文も増えました」

-車止め以外にもさまざまな製品を開発製造されていますね。

 「ほとんどの製品は『こんなものを造れないですか』といった依頼が入ってくることから始まります。リサイクルBOXや水面のゴミを回収するエコボートなど、さまざまな課題にトライしています」

港で使われる車止め

 次回は、課題解決の取り組みから生み出され、もう一つの主力製品に育ってきているトランポリンについてうかがいます。

《メモ》
本社=糸島市志摩松隈297番5
創業=1987年
従業員数=32人

 このコーナーは、九州大学のインターン生が糸島エリアで事業活動をしている企業や団体を取材し、その魅力を紹介します。今回は、芸術工学府修士2年、北垣玲音が糸島市志摩で高品質の医療機器を設計・製造している株式会社オートシステム代表取締役社長、徳安健司さん(50)に製品づくりにかける思いをうかがいました。-本社が福岡市西区に、医療事業部が糸島市志摩にありますが、会社の沿革を教えていただけますか。

 「スタートは西区からです。現在の会長が1984年に設立した当初は、電源ケーブルや信号ケーブルなどを加工し結束させるワイヤーハーネス事業を行っていました。その後、徐々に規模を拡大し、志摩工場で掃除機のモーター造りを始めました。元々はお客様の要求に沿った製品づくりを行い、その後、設備保守や設計にも力を入れて技術力の向上を図りました。ただ、時代の変化とともに、商品の需要も変わっていき、福岡市が開催したメーカーとのマッチング会でご縁があり、2000年に志摩工場で医療事業部を開設しました」

-志摩工場では現在、具体的にどういったものを造っているのでしょうか。

 「立位撮影台や車椅子撮影台など、さまざまな人や用途に合わせた医療用Ⅹ線関連製品を造っています。徳島大学と共同で開発した頭部の精密な画像撮影を可能にした装置は、世界でも当社しか製造できません」

-Ⅹ線関連製品は、昇降したり、回転したり、スライドしたりと、さまざまな動きがあります。開発設計でどんなところを注意していますか。

 「まずは、患者さんの安全性が第一ですね。医療機器ですので、患者さんにけがをさせることがあってはなりません。自分たちで台を使用し、問題となる箇所がないか確かめます。また、製造段階では、コストを抑えることも重要で、自社の工場や加工設備で造られるよう設計することも大切です」

-設計・加工・組み立ての一連の流れを一貫して行っているところに特徴があるそうですね。

 「製品仕様に合わせて設計をして、仕上がった製品を全員で問題ないか検証します。製品となり、出荷後においてもサービス員が実際に製品を使用する検査技師の人からフィードバックをしていただくなどして、よりニーズに合う製品づくりにつなげています」

 次回は、会社を支える人材育成や仕事の質を高めるための社内の仕組みについてご紹介します。

 《メモ》
 住所=本社・本社工場  福岡市西区拾六町2丁目2-28
    装置・医療事業部 糸島市志摩松隈282-5
 従業員数=183名

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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