本紙記者飛び入り参戦し白星
「目隠し女相撲」。糸島市二丈の松末五郎稲荷神社で、五穀豊穣に感謝する「ふいご大祭」で奉納される、年末の恒例行事。相撲をとるのは女性のみ。頭巾をかぶって相手を手探りで探しながら対戦するため、見る人も取る人も笑顔が弾けるユニークなお祭りとして知られる。

汗ばむ陽気となった7日、土俵で奮闘する女性たちに、夫や子ども、孫、近所の人々から大きな声援が飛び交った。地域住民による取り組みの後には、観客が飛び入り参加する時間も。「ペンより重いものを持ったことがない」としり込みしていた記者も「糸島瓦版」というしこ名が決まり、いざ土俵へ。
赤いふわふわの敷物が敷かれた土俵に上がると、まずは正座で相手に一礼。後ろを向き、七福神が描かれた頭巾をかぶると、明るい日差しの気配だけは感じられるものの、視界は完全に閉ざされる。
行司の「はっけよい!」の声が響き、観客からは「のこった!!」の合いの手。膝立ちや手をつくことは禁止であるため、正座のまま手を前に差し出し、おそるおそる前進する。「前!」「右、右!」と飛ぶ声援だけが頼り。相手を探り当てると素早く腰ひもに手を回し、がっぷりと組み合った。思わず膝立ちしそうになるのをこらえ、お腹に力を入れて上半身をひねる。「強い…」。しばらく押し問答が続いたが、一瞬のスキをついて踏み込むと-。取り組みが始まるとあっという間に夢中になり、思わぬ初白星を挙げることとなった。
頭巾をとると、対戦相手のルイザさんに思わず手が伸び、固い握手を交わした。ルイザさんはドイツから芸術制作のために近くのアトリエに滞在中。初対面ながら、国境を越えた親近感が自然と沸いた瞬間だった。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
