糸島市役所で贈呈式
今年6月に102歳で亡くなった洋画家の野見山暁治さんの作品が、糸島市に寄贈され18日、贈呈式が市役所で行われた=写真。23日午後1時から同4時まで、市役所新庁舎で市民に初お披露目される。
戦後の洋画界を代表する野見山さんは1920年、福岡県穂波村(現飯塚市)で生まれ育ち43年、東京美術学校(現東京芸術大)油画科を卒業。
52年、フランスに留学。58年に洋画家の登竜門「安井賞」を受賞。名文家として78年にはエッセイスト・クラブ賞も受賞。2014年には文化勲章を受章。戦没画学生の遺作を展示する「無言館」(長野県上田市)設立にも協力した。
東京の自宅とは別に1976年、海が見える糸島市志摩船越に構えたアトリエで1年の3分の1を過ごし、100歳を超えても精力的に絵筆を握り続けた。
寄贈された作品のタイトルは、「みんなウソ」。100号(幅162センチ、高さ約130センチ)の油彩画で、2020年に糸島のアトリエで制作された。作品の銘鈑には「糸島に家を建てて、47年。こよなく海と風景を愛し、『最後はここで』の言葉通りに。タイトルは『みんなウソ』ですがこれは本当の話」と書かれている。
贈呈式には、野見山暁治財団の山口千里事務長と山崎洋子さんが出席。月形祐二市長は「ついのすみかは糸島と決められ、住民票を本市に移された3日後、ご逝去された。哀悼の誠を捧げ、市の宝として大切にさせていただきます」と述べた。
山口事務長は「活気がある糸島を、文化の面でも導いてほしい」と語った。
作品は新市庁舎でのお披露目の後、来年の「野見山暁治寄贈作品特別展示」(1月23日から2月25日まで、伊都郷土美術館)で、糸島のアトリエでの野見山さんの写真やエピソード、貴重な資料とともに展示される(入場無料。月曜休館)。市によると、特別展示後は新庁舎の応接室に飾られる。