【糸島市】糸島新聞で振り返る2023年

 ロシアによるウクライナ侵攻は収束の兆しが見えないまま、10月にはイスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃。報復としてイスラエルがパレスチナ自治区を攻撃するという2つの戦争が同時進行した年として、人々の記憶に刻まれることになった2023年。5月には新型コロナの感染症法上の分類が2類相当から5類に引き下げられたことで街は活気を取り戻し、“4年ぶり”に復活するイベントも多かった。糸島は今年、どんな年だったのか。1年分の糸島新聞をめくりながら振り返った。

1月

市商工会が創立10周年

 糸島市商工会創立10周年記念式典が13日、糸島市の伊都文化会館大ホールで開かれた。同商工会は2013年、前原市、志摩町、二丈町の3商工会合併によって誕生。糸島ブランド推進による消費拡大や人口増などで、当初1253だった会員数は1619会員(1日現在)に増加。県内52商工会の中でトップクラスの規模となっている。

 ただ、20年に始まった新型コロナの感染拡大や、世界情勢の悪化に伴う原油高、原材料高、部材調達難などによって事業環境は厳しくなっており、大舘照光会長は式辞で「財源、組織の見直し改革に取り組んでおり、2024年度からは新たな商工会組織で一層力強い支援ができる」と語った。  (20日付)

2月

SDGs探検隊学んだ成果発表

 糸島市の小学生らが、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む人たちを取材し動画にまとめて発信する「いとしまSDGs再発見プロジェクト事業」の成果発表会が1月28日、同市の前原南コミュニティセンターで開かれた。探検隊は自然豊かな糸島で、人々が日々の営みで実践しているSDGsを掘り起こし、現場で学び取ったことを披露した。動画は動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開され、SDGs推進の機運を高める。

 探検隊は、小学生と高校生、大学生による5~6人の2チームを編成。「農業」と「森林保全」の二つのテーマで10~11月、現場を訪ね、動画の撮影をしながら取材を重ねた。自分たちの手で動画編集を行い、農業について約10分、森林保全については約16分の動画にまとめた。       (3日付)

3月

全国家の光で「最優秀賞」に

 第64回全国家の光大会(2月16、17日、京都市)、普及・文化活動の部で、JA糸島営農部営農企画課の岡﨑伸子さんの体験発表が最優秀賞に選ばれた。

 「糸島の愛とパワーをお届けします!」と題し、コロナ下で食事に困っている学生や食品ロスの問題に焦点を当て食の支援活動を行った経緯を紹介。「食に携わる者として、食べるのに困る人と、やむなく捨てられている食べられるものをなんとかしたい」との思いで農家と共に歩む姿が高く評価された。       (17日付)

4月

糸島新聞が市文化財に

 糸島市教育委員会は3月30日、大正・昭和期刊行資料として、1917(大正6)年7月20日付の創刊第1号から、活版印刷からオフセット印刷に移行する82(昭和57)年の12月18日付(4370号)まで計62年分の糸島新聞と、活版印刷に使った同紙の版木など計230点を市有形文化財(歴史資料)に指定した。

 新聞などの近代歴史資料は、消滅や散逸などの危機にさらされているものが多いとして、文化庁が後世に伝えるために保護する措置をしており、今回の指定はこれに沿った先端的な事例。市教委によると、新聞が歴史資料として文化財となるのは全国的にも珍しいという。   (7日付)=写真1


西都北小が開校
 福岡市西区の西都北小学校で7日、開校式が行われた。九州大伊都キャンパス移転に伴う人口急増で過大規模化した西都小を開校7年目で早くも分離しての新設。開校式は講堂兼体育館であり、宮野直哉校長が児童たちに「新しい学校で、皆さんがいろんなことを学び、さまざまな体験をし、素敵な学校を一緒につくっていきましょう」とあいさつし、開校を宣言。

 校章と校歌の紹介もあり、教職員と児童たちは、学校の新たな歴史を築いていく思いを胸に刻み、真新しい校舎での学校生活の一歩を踏み出した。       (14日付)

5月

ドレッシング日本一

 ドレッシング日本一を決める第1回ドレッシング選手権(日本野菜ソムリエ協会主催)で、糸島市南風台の「糸島正キ」の「糸島野菜を食べる生ドレッシングあまおう」が最高金賞に輝いた。同選手権には全国のメーカーから91点が出品され、同社のドレッシングは「味もしっかりイチゴで香りもよい」と最高の評価を得た。

 正木社長は「おいしいと思って食べてくださる方たちの期待に応えることができ、ほっとした」と語った。      (19日付)

6月

希少な鳥を調査

 日本近海にしか生息しない希少な鳥「カンムリウミスズメ」を守り増やそうと、日本野鳥の会と長崎大学環境科学部の山口典之教授は2019年から、貴重な産卵場所となっている玄界灘の烏帽子(えぼし)島(糸島市)に人工巣を設置し、保護活動と調査に取り組んでいる。

 カンムリウミスズメは頭部の冠羽が特徴で、推定個体数は5千から1万羽程度。国の天然記念物、国際自然保護連合(ⅠUCN)と環境省の絶滅危惧種に指定されている。   (16日付)=写真2

市運動公園が開園へ

 糸島市運動公園(同市蔵持)が7月1日、オープンする。運動広場や多目的体育館など、誰もがさまざまなスポーツを楽しんだり、憩いの場として集ったりできるだけでなく、大規模災害時は避難施設としても活用できる。公園の東西をつなぐスポーツプロムナードを中心に、簡易トイレを取り付けられる12個のマンホールや、かまどとしても使えるベンチ、手押しポンプ式の井戸などがあり、万が一に備えた施設となっている。

 市は、25日に同公園の多目的体育館で開園記念式典を開き、市民とともに公園の完成を祝う。   (23日付)=写真3

国重文ダブル指定へ

 国の文化審議会(佐藤信会長)は23日、糸島市の櫻井神社の本殿と拝殿、楼門の3棟と髙祖神社本殿を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。秋ごろの官報告示で正式に決定する。指定されると、市内の国指定文化財は計18件、建造物としては初となる。

 月形祐二市長は「糸島の先人たちが永く守り伝えてきた文化財が、2件同時に国の重要文化財に指定されたことは、たいへん光栄であり誇り」とコメントした。      (30日付)

7月

糸高歴史部が日本一

 糸島市の糸島高歴史部(10人)が、日本考古学協会の第89回総会で行われた高校生ポスターセッションで、最高賞の優秀賞を受賞した。6世紀の古墳時代後期に流行する、同校郷土博物館所蔵の革袋形土器(伝・福岡市西区小田出土)について、ほかの出土例と比較しながら土器の使い方の検討や形による分類、土器を用いた集団などの調査・研究を行い、成果を1枚のポスターにまとめた。

 2017、18年の連覇以来の日本一。部員たちは「データ集めとか苦労した分、喜びも大きかった」と満面の笑みを浮かべた。       (21日付)

8月

カメ子13年目の来訪

 「一年ぶりだね、おかえり」。毎年7月から8月頃に現れる、ニホンイシガメのメス「カメ子」が、今年も糸島市志摩小金丸の庄島安子さん(76)宅にやってきた。勝手口や炊事場にきては、夕飯のご相伴にあずかる。今年で13年目。

 3年前に亡くなった夫の敏雄さんも、カメ子のために餌を早くから準備したり、写真をたくさん撮ったりしてかわいがっていた。「仏壇のお父さんに、『今年もカメ子が来たよ』って報告しました」。夏に帰省する家族のように、カメ子は庄島家にとって大切な存在だ。   (4日付)=写真4

9月

伊藤野枝没後100年

 女性解放運動家で、糸島郡今宿村出身(福岡市西区)の伊藤野枝(1895-1923)の没後100年に合わせ、野枝のわずか28歳という駆け抜けるような生涯を振り返り、今の社会を見つめ直す機会にしようと、講演、講談など多彩にイベントを行うフェスティバルや、オリジナル制作の舞台が福岡市で相次いで開かれる。自由を求め、決して権力に屈することなく、自分らしさを貫き通した野枝の生きざまを感じ取ることができる。

 伊藤野枝は、東京の上野高等女学校を卒業後、故郷で親の決めた相手に嫁ぐが、すぐに出奔。高女時代の教師辻潤のもとに身を寄せ、文芸誌「青鞜(せいとう)」で働き、フェミニズムの先駆者平塚らいてうの後を継ぎ2代目編集長就任。その後、辻と別れて大杉栄と同棲。無政府主義者として共に活動し、関東大震災の混乱の最中、大杉と大杉のおいの橘宗一と共に憲兵大尉甘粕正彦らにより虐殺された。       (1日付)

10月

海上からの救助訓練

 糸島市志摩野北の彦山北側沿岸部で事故が起こった際の海上からの救出に備え、県水難救済会野北救難所と市消防本部が16日、合同救助訓練を行った。

 同沿岸部には岸壁が広範囲に広がっており、ロッククライミングでの事故が過去15年で4件発生。天候不順などですぐに向かえない場合があるヘリコプターや、移動に時間がかかる陸からの救助より、迅速に対応できる海上からの合同救助訓練を初めて実施。消防署警備課は、「レジャーを楽しむ人たちは、事故の予防にくれぐれも努めてほしい」と呼びかけた。   (27日付)=写真5

11月

浦さんの豚が金賞

 県内の畜産農家が、質の良い肉をより多く生産する技術や成果を競う県内最大の品評会である県肉畜共進会の肉豚の部で、糸島市志摩桜井の王宇義(おうぎ)農産が金賞を初受賞。浦王寿社長(58)と長男の宇寿(たかとし)さん(23)が、月形祐二市長に受賞報告を行った。

 浦さんの豚は規格「極上」と評価され、出品された33セット66頭の中で唯一、両方とも満点。初の金賞受賞となった浦さんは「一生懸命やってきたことが評価されてうれしい」と喜んだ。       (10日付)

12月

藤田捕手が鷹7位指名

 プロ野球のドラフト会議で、福岡ソフトバンクホークスが南風少年野球出身で、福岡大大濠高3年の藤田悠太郎捕手(18)を7位指名。南風からは初、糸島少年野球連盟からは10人目のプロ野球選手となり、藤田捕手は「送球の正確さとフットワークの良さがアピールポイント。けがをしない体づくりをしながら技術を磨き、日本を代表する捕手を目指したい」と語った。       (1日付)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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