「二十歳のつどい」に参加した人たちの希望に満ちた明るい笑顔を街で見かけ思わず心の中で、こう語り掛けた。「頼んだよ、糸島の未来を」。そして、同じ年ごろだった40年前を思い起こした。今の青年との大きな違いはパソコンやデジタル機器の使いこなし方▼文系の学生だった当時、コンピューターのキーボードに向き合う機会はめったになく、試しに打つときは恐々として指に力が入らなかった。ましてや指先で画面に触れて入力するタッチパネルが日常生活に浸透するとは想像すらしなかった。一方、今の若者は生まれたとき、すでにインターネットやデジタルデバイスが普及していた▼こうした環境で育った若い人たちは「Z世代」と呼ばれる。20代半ばから10歳前後の人たちがその世代。情報収集の中心は、テレビや新聞・雑誌ではなくインターネット。交流サイト(SNS)を利用し、さまざまな人にメッセージや画像を発信しコミュニケーションしている▼還暦を迎えた世代にとって、子ども時代に自ら行えた発信手段として思い浮かぶのが「ガリ版印刷」。鉄筆で文字を刻んだ原紙の下に紙を敷き、インクを塗ったローラーを転がし一枚一枚、印刷していた。級友分の学級新聞を作るのでさえ、大変な労力がかかった▼飛躍的な情報発信力を身につけたZ世代。ただ、ネット上では、大勢の人たちから批判や中傷のコメントが集中する「炎上」が起きることもある。言葉は凶器にもなりうる。加害者とならないよう、しっかりと自制し、デジタル技術によって激変する時代を生き抜いてほしい。
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