コラム まち角

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進学や就職により、がらりと変わった環境で新年度のスタートを切った人たちには、ストレスがたまりやすい時期。ゴールデンウイーク明けには、ストレスなどが原因で、やる気が出なくなったり、眠れなくなったりする五月病が起きやすくなるとされる▼本来なら新たな目標をつくり、意欲的に歩んでいけるはずなのだが、どうして、ひどく緊張し疲れてしまうのだろうか。人と競い合い、比べながら生きることを教え込まれてきた結果、新生活の門出で不幸を招いているのだと思う▼だれもが幼い頃、心に刻んだであろう、ウサギとカメの話。この物語が前提としているのは、ゴールに早く着くのが良いということだ。比べることに意味がないであろう、走る速さが異なる生き物同士を競わせ、競争の世界では「油断は大敵だ」とも説く▼ウサギとカメの話に、続きを創作して加えた絵本作品がある。作家の小林正観さん(故人)原作の「ウサギとカメ21世紀版」。月曜日に最初の競走をし、敗れたウサギがやり直しを提案する。こうして1週間、レースが繰り返されていく。ただ、その様相は毎回、変化していく。2匹だけのレースではなくなり、カメとウサギの仲間が加わり、速さを争うのではなく、みんなでおしゃべりをしたり、景色を見たり、楽しみながら走るようになる▼競争は、周りの人を「敵」にする。そうではなく、みんなが助け合い「味方」となって生きることで、争いの苦しみや孤独から解放される。自身の目指すべき生き方を追求するとき、人と比べるのはやめ、自分の中で高い目標をたてて自己研鑽を積み、幸せに生きる。ウサギとカメの続きは、こう語りかけている。

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