ドクター古藤の園芸塾Vol.38【9/1号掲載】

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秋冬野菜の土づくりの基本

 今年の晩夏は連日35度前後の猛暑日。お盆を過ぎると、なんとなく日の短かさとともに、朝晩は心地よく過ごせる気温になってきたと、例年だと感じるものです。しかし、今年はどうでしょう。夜は30度、朝も29度となかなか気温が下がりませんね。この猛暑現象は、世界各地で発生している自然の大火災も関係あるのかなと、想像してしまいます。もう、他人事ではないような気がします。


 「あつ~して、あつ~して、な~んもできまっせんばい」「せっかく、ニンジンの種をまいたばってん、いっちょん発芽しとらん」など猛暑の影響の声は聞きますが、秋冬の野菜栽培はまったなしです。


 キャベツやブロッコリー、ハクサイなどの苗物定植のほか、ダイコン、カブ、ホウレンソウ、シュンギクなど種まきもの、次から次へと作業は大忙しです。しかし、ちょっと待ってください。秋から冬にかけ、時間をかけ、ゆっくり育ち、冬の寒さにも耐え、甘味を出す秋冬野菜は、次から次へと実を付けるトマトやナス、オクラなどの春夏野菜と違って、肥培管理が少し違います。特に土づくり。


 ダイコンやニンジン、カブなどの根物野菜が多いことから、硬い土ではなかなか育ちにくいのに加え、葉の枚数が多い、キャベツやハクサイなどの葉物野菜が中心となり、低温期でもしっかり根を育て、葉に栄養分を送ることができる土づくりが重要です。糸島地域基準の土づくりをご紹介いたします=表参照。


 堆肥と石灰、ミネラル資材を土とよく混ぜ合わせ、耕すことで、根を育てる土づくりができます。特によか堆肥くんは、土を柔らかくする植物繊維が豊富に含まれているので、一押しです。しっかり混ぜ合わさることで、レベルが高い地力が確保できます。


 次が問題です。土づくりのあとが基肥。野菜は品目によって、肥料の吸収度合いが違います。例えば、キャベツやハクサイなどたくさんの葉を育てる野菜は、肥料を多く好みます。逆に根を伸ばすことが重要なダイコンは、栄養を根に蓄えようとするので、肥料が多すぎると葉の生育だけが強くなり、肝心な根が曲がったり、味が落ちたりしてしまいます。


 ホウレンソウやシュンギクなどの葉物野菜も肥料が多すぎると、えぐみをともなった食味が悪い育ち方になります。
 基本的には、ナスやキュウリ、オクラなどの実を付ける春夏野菜は、基肥とともにこまめな追肥を行う多めの肥料管理で連続した収穫を目指しますが、一株一回採りが多い秋冬野菜は、全般的に多肥栽培はあまり向きません


 そこで、お薦めなのが、有機化成配合肥料。比較的早く肥料効果がある化成とゆっくり分解し成分が吸収される有機質を混合した肥料を使うと、安定的に吸収されていきます。例えば、基肥として「糸島有機入りやさい:20キロ・5キロ入り」を1坪当たり、250グラムを混ぜた後、苗や種まきを行うとよろしいでしょう。さらに家庭菜園者の方でしたら、「有機入りほほえみ:2キロ入り」を、1坪当たり300グラム土に混ぜるとよいでしょう。油粕、骨粉、化成肥料をバランスよく配合した肥料です。


 秋冬野菜の栽培の鉄則は①適期に定植、種まきすること②日が長く、気温が高い時期を利用し、生育前半までにしっかり育て上げることが大切です。気温が低くなって、生育がよろしくないからといって慌てて追肥しても、そう簡単に吸収してくれません。まずはしっかり土を耕し、冬の寒さに耐えられる栄養分を吸収させ、甘味のある野菜の収穫を目指しましょう。

①家庭園芸肥料・ほほえみ
②プロ使用・糸島有機入りやさい
③糸島産原料由来堆肥・よか堆肥くん
④糸島産カキ殻石灰・シーライム

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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