【糸島】ドクター古藤の園芸塾Vol.44(10/13号掲載

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雑草の多面的な役割

 今年の秋口は、気温が高いのか、雑草の生育が衰えにくいように思えます。特に週末菜園の方にとってみれば、菜園に足を運ぶたびにダイコンやカブ、キャベツなどの野菜の生育より、雑草の生長の方が早く、ちょっとひるんでしまいそうですね。


 大切に育てている野菜と栄養を取り合うわけですから、こまめな除草も必要ですが、見方を変えれば必要があるから生えているとも言えます。


 しかし、近年、問題となっている難雑草「マルバツユクサ」「オオアレチノギク」などの外来性雑草は論外。いっきに繁殖エリアを拡大していきます。こちらの雑草の解説は別の機会にお話しします。


 今回は、雑草の役割を考えてみます。まず雑草を見れば、土壌のおおよその酸性度が分かります。酸性度によって生える種類が変わってくるのです。とはいえ野菜に比べて雑草は強いので、多少のブレはありますが、表にしたので参考にしてください。


 雑草そのものの役割も多面的です。小動物のすみかや餌となり、生物の多様性を保つ▽太くてまっすぐな深根性の雑草は、土が硬いところでは、その根で土をゆっくり耕す▽地表付近にある微生物や土壌菌を紫外線から守り、湿度を保つ▽地面を覆い、根を張ることで、表土を固定し、土が浸食されるのを防ぐーなどの機能を持っています。

雑草の生えたブロッコリー


 地表マルチ効果の代表格が、レンゲソウやシロツメクサなどのマメ科植物です。レンゲソウには、根のところどころに「根粒」というこぶがあります。ここに、「根粒菌」という、空気中の窒素を植物の使える形に変える特別な能力がある細菌をすまわせています。その結果、レンゲソウ全体が、窒素をたくさん蓄えた肥料となります。

畑マメ科の根粒菌
レンゲソウと根粒菌は共生


 化学肥料が今のようにふんだんになかった昔、春になるとレンゲ畑が一面に広がっていたのはこのため。決して春になると勝手に生えてくるのではなく、農家が種をまき、田植え前にレンゲソウを土に鋤き込むことで、土を肥やしていたのです。根粒菌に、住まいと少しの養分を与える代わりに、肥料としての窒素分をもらう共生関係を結んでいるレンゲソウを「緑肥」として生かすのは、先人の知恵といえますね。

根粒菌はマメ科特有の微生物


 「幸運の四つ葉」で有名なクローバーも、マメ科の仲間。昔の子どもたちは花や茎を編んで、冠を作ったりして遊んでいました。スマートフォンやパソコンなどの便利な現代機器をちょっと置いて、レンゲソウなどを引き抜いて根を観察してみませんか。植物の生命の営みを学ぶことができます。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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