コラム まち角

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 晴れ渡った秋空の下、クリスタルブルーの鮮やかな朝顔が咲き誇っているのを民家の庭先で見かけた。根が張って翌年もそこから育つ宿根の琉球朝顔だ。朝顔は夏に花を咲かせるものだと思い込んでいたが、調べてみると、琉球朝顔は霜が降りる季節まで咲き続けるのだという▼花にまつわる思い込みといえば、こんな出来事もあった。「クリスマスに咲く花が春になって咲いていますよ。写真を撮りにきませんか」。十数年前、読者の方から電話をいただき、おうかがいした。花はクリスマスローズ。専門家に尋ねてみると、2月下旬から春にかけて開花する系統と判明。名前からくる思い込みに、読者と思わず笑みを浮かべた▼ただ単に思い違いだったと、済ませてしまえる季節感の思い込み。ただ、こんな思い込みがあるとしたら、笑っていられるだろうか。蚊は夏場を中心に出てきて刺すというのは、現実には違ってきていて、思い込みになろうとしているー。気象情報サービスのウェザーニュースがスマホアプリ利用者を対象に行ったアンケートでは、今夏の蚊について「いつもより少なかった」が75%を占め「いつもより多かった」はわずか6%▼蚊はあまりにも気温が高いと、日陰に身をひそめてしまうという。35度以上の猛暑日が増えた近年、蚊への注意は気温の下がってきた秋こそ必要という専門家の指摘がある。周りでも夏の蚊の少なさを感じる人は多い▼地球温暖化を防止する取り組みは重要だが、一方で、これまでの季節感が通用しない現実が出てきている。気候変動という地球規模の問題下、変化してしまった現状を敏感に受け止め、身を守る手立てが大切になっている。

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