ドクター古藤の園芸塾Vol.55【1/1号掲載】

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「医食同源」の1年に

新年明けましておめでとうございます。

 本年も、楽しい園芸情報をどんどん発信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今年の干支(えと)は「辰(たつ)」。私の干支でもありますので、自分の個性を生かして、さらに、いろいろな面に挑戦していきたいと気合をいれています。また近年は、温暖化が影響しているのか水害や高温乾燥など気候変動も大きく、今年こそは農園芸や生活環境が安泰で、明るい話題が豊富な年になってくれるよう願っております。

 さて、店頭ではトマトやナス、キュウリにオクラなどの春夏野菜の種がずらりと並んでいます。また、春バレイショも秋に比べ品種も多く、どの品種が良いのか迷ってしまうほどです。

 野菜や果物の品種も糖度と酸味のバランスが良い「白肉スイカ」や食味絶品の「黄皮スイカ」、超小球の「赤肉プリンスメロン」、変わり種では、夏限定の赤色栄養野菜「ベビーリーフ用アマランサス」など新しい品種も続々登場しています。

 でも、やみくもに作付けすると、秋冬野菜を栽培しようとした時、まだ畑には収穫可能な野菜が残り、植え付けるスペースがない、なんてことも。また大事な土づくりは、根焼けや根痛みを防ぐため、種まきや苗定植の3週間前に終えておくのが理想です。

 春夏野菜の前に仕込む主な作物は、ニンジンやゴボウ、バレイショ、ショウガ、サトイモなどの根菜類が中心。1月のうちに年間計画を立てておくと、土づくりから作付け、収穫と段取りよく作業を進めることができます。

 主な野菜の栽培カレンダーを作成しました。糸島の平坦部を基準にしていますので、山間部などは若干、時期がずれますが、参考にしてください。

 さて、春夏野菜には、自分で苗を準備した方がよいものと、購入した方が無難なものがあります。発芽しやすいオクラやキュウリ、カボチャ、エダマメ、スイートコーン、インゲンなどが前者。ポットに種をまき、育苗してから植え付けるのがベストですが、害虫などの対策ができれば、直まきも可能です。

 後者の代表格は、スイカやメロン、トマト、ナスなどの接木グループ。

 生育温度の管理や天候ストレスを考えると、JAなどから苗を購入した方が間違いないでしょう。ただし苗物は、少々出回りが早すぎる時があります。苗を早く植えれば、その分早く収穫できる、というものではなく、生育温度に適合しないと育ちません。

 プロはそれを回避する工夫をしているからできるのであって、園芸店に苗が並びだしたからと、さっと飛びつくのは危険です。定植をあせらず、種まきや苗定植は、作物にとって最適な温度を見極めながら行うことが重要です。

 私たちの身の回りでは、スマートフォンや家電、車など日進月歩で進化し、便利な暮らしへとつながっていますが、食は命、健康を守るための根源です。2024年、皆様とともに「医食同源」を目標に、健やかな一年となりますよう、心よりお祈りいたします。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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