地域一体となって魅力発信
糸島市では、市内の他校区の児童を受け入れる「小規模特認校」制度を、2024年度から長糸小に続き、桜野小、一貴山小にも広げる。
市教委は、望ましい学校規模の基準として小学校は12~18学級、中学校は9~18学級(学級数は特別支援学級を除く)と定め、クラス替えが可能かなどの指標を基に、地域との十分な連携のもと適正化が必要な学校の取り組みを進める。1学年1学級で全校児童数106人の桜野小と146人の一貴山小へと対象を広げた。
長糸小の特認校制度 インスタ活用やイベント交流
22年度から先駆けて同制度を実施する長糸小(118人)。自然に恵まれた環境を生かし、地域交流の中で豊かな人間性を育む教育活動を提唱し、現在1年生から5年生までの7人の子どもが校区外から通う。
小学校生活の様子をインスタグラムで発信したり、地域住民が主体となってイベントを開催したりと、学校と地域が一体となって長糸の魅力を発信しており、来年度は市内各地から8人が応募している。
1年生から長糸小に通う2年生の吉澤咲希さん(8)は、市内中心部から路線バスを利用して同小に通う。母の麻理さんは、市の広報で同制度を知り、学校見学を重ね「自然いっぱいなところで小学校生活を送れたら」との思いや、「少人数学級で先生の目が行き届くこと、学年の垣根を超えた交流活動が娘の性格に合うだろう」と入学を決めた。「行きつけの美容室や通っていた保育園の先生が長糸小の保護者で、地域に顔見知りがいるというのも後押しになったかな」と話す。
各学年20人前後の小規模校のため子ども同士や児童と教員の距離が近く、「安心してのびのびと過ごしている」と保護者からも喜びの声。「地元の子どももすぐに話しかけ大歓迎の様子。どの子も包み込むような長糸の地域性を感じる」と二串英一教頭は話す。
30年ほど前には200人を超えていた児童数が半減。「長糸校区がなくなる。自分たちが育った学校がなくなる」ことに危機感を覚えた地域住民が、自然豊かな長糸の魅力を伝える「ほたるカフェ」や地域住民との交流を楽しむ「ながいと日和」の取り組みに着手し、児童と子育て世代の移住による校区人口の増加を目指す。関係者は「学校だけではなく、学校と地域がいかにうまく連携しあってやっていくかが大事」と話した。
来年度の入学・転入者の募集は締め切っているが、見学は随時受け付ける(各学校へ要事前予約)。詳しくは市ホームページに掲載。