【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.66(3/29号掲載)

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ミカンの剪定

3月は、ミカン類の剪定(せんてい)作業のラストスパート。「うちの不知火くさ。デコんとこの真っ黒、すすけとったいね」「あたしんとこのミカンは、葉っぱのすすけとる」「なんの病気ですな」と近頃相談増加中です。

 「それは『すす病』ですたい」と回答。病原菌は「すす病菌」で、植物の外皮に黒色のすす状のカビを生ずる菌です。葉の表面全体に、すす病菌が生えることによって、すすをまいたように黒色になり、光合成が阻害され生育が悪化します。

すす病のミカン

 樹木を含め、いろいろな植物に被害が発生し、特に、日当たりの悪い陰湿な環境のところ、また弱った樹木、植物によく発生します。原因はカイガラムシなど排泄物に菌が繁殖してしまうことが主因です。常緑であるミカンの木の場合、覆い繁り、風通しの悪い状態が続いてしまうと、すす病のほかに黒点病、そうか病、カイガラムシ、ハダニなどの病害虫が発生します。

 そこで、防除対策最大の手立てが剪定。風の通りを良くしたり害虫の巣づくりを防いだりできるので、病害虫防止の対策として効果的です。

 新芽が出る4月頃には、多くの栄養が必要となるので剪定を行い、育てたい枝だけに栄養を集中させることと、通気性、木の中心部への採光を確保します。

 ミカンの剪定は、全体の形を大きく変えずに枝先だけ切り取る方法の「弱剪定」が基本です。枝を長く切り取る強剪定は、木がもとに戻ろうとする力が働き、徒長枝(不要な枝)が発生したり、枝が固くなることで新芽が出づらく実のつきも悪くなったりするため、弱剪定で少しずつ切り落とすことにしましょう。

剪定前の晩白柚
剪定後の晩白柚

 さらに、次のような枝を間引き剪定も重要です。

 ◎病害虫の被害があった枝
 ◎枯れている枝や徒長枝
 ◎実のついた枝に重なっている枝

 特に徒長枝は、実が付かないうえに多くの栄養素を吸収するので付け根から切り落とします。また、実のついた枝には翌年新芽は付きませんので、三分の一程度切ります。実の付かなかった枝は、新芽が付くので切らないように気をつけましょう。

 最も重要なのは、春枝と夏枝、秋枝を見分けること。ミカンは春に伸びた枝に花芽をよくつけますが、夏や秋に伸びた枝には花芽をあまりつけません。4年目以降のミカンの木を剪定する際は特に、春枝を間違って落とさないように見極めながら剪定をしましょう。

枝を残す春枝
剪定をする秋に伸びた枝

では、見極めのポイント。春枝の特徴として
 ◎節と節の間隔が狭く、葉の数が多い
 ◎枝の形が丸みを帯びている。

夏枝・秋枝の特徴は
 ◎春枝と比べ、節と節の間隔が広い
 ◎枝の形が三角形になっている。

これを参考に剪定を行ってください。

 風通しが良い環境づくりはミカンだけではありませんね。住宅も人も風通しがいいと、明るくて暮らしやすい環境が整いますよね。

 気負うことなく、軽く剪定を行ってみてください。何事も勉強です。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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