【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.67【4/5号掲載】

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早植え禁止&順化

 そろそろ春の苗物シーズン。JAや園芸店、ホームセンターさんなど、特設コーナーをつくり、本格的な販売が始まっています。

 ただ、野菜作りアドバイザーとしては、少々気になることが。というのも、最近は「早く植えれば早くできる」と考える初心者の方が多いため、そのニーズに応えようとして販売が早すぎるきらいがあるのです。早植えは失敗のもと。低温障害で失敗することがあるからです。

 真夏の30度を超える温度にも耐える春夏野菜ですが、寒さにはそう強くありません。4月にナスの苗を植え、10度を割る気温に遭うと、葉は縮んで根は弱り、生育がどんどん遅れてしまいます。

 だから、ナスの植え付けの適期は、晩霜の危険がなくなり、地温15度が確保できる5月上旬の植付けがベスト。この時期に植えたナスの方が、安定して生育し、立派に育ちます。これはピーマンも同様です。

 オクラもそう。高温生育野菜ですから、種をまいた後に低温に遭うと発芽しなかったり、発芽してもその後枯れてしまったりします。

この時期、ハウスで大事に育てられた苗をすぐに土に植えると寒さにやられることが多い

 確かに、まだ寒さ本番中の2月に種をまいて、ポッカポカの暖房をきかせたハウスで育ってきたわけですから、いくら4月といえども、外気温は低く、特に晴れた夜は放射冷却で、さらにぐっと冷えます。野菜もたまったものではありませんね。

 とはいえ、早めに苗を植えたい皆さんの気持ちもよくわかります。

 そこでお薦めするのが、順化管理。一般的に販売されている野菜苗は、生育適温を維持したビニールハウスなどの温室で大切に育てられています。つまり、暖かいところで育った苗を、いきなり夜も冷える寒いところに植えたら、びっくりしてしまうわけです。野菜苗を購入されたら、いきなり畑に植えずに、寒さに当たらない明るい場所、例えば日の当たる縁側とか玄関とかに置き、水やりを控えめにしながら3~5日慣らしてから植えます。

 ただし、暗いところは、光を求めて苗が徒長するので駄目。明るいところに置くのがポイントです。

 「苗半作」。良質な苗を植えることで、一生の生育の半分は決まったも同然との意味です。私たちも野菜に負けないよう、しっかり成長したいものです。

       ◇

 40年余りにわたりお世話になったJA糸島を退職し、4月からトータルアグリビジネス企業「シンジェンタジャパン」のアグロエコシステムテクニカルマネジャー(福岡支店駐在)として九州各地で営農技術指導を行うことになりました。引き続き、みなさまに健康な作物づくり、庭木の手入れなど、役立つ情報をお伝えしていきますので、よろしくお願いいたします。  (古藤俊二)

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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