ウニの捕獲研究、食品廃棄物の費用減…
市が九大生など3件に助成金
糸島市は、九大生が考案した磯焼けの原因とされるウニを捕獲するトラップの研究開発など3つの研究に、50万円を限度額とする補助金を交付すると発表した。市と連携協定を結ぶ大学などの学生から、地域活性化や行政課題の解決に向けたユニークなアイデアを募る「学生アイディア社会実装補助金」の一環。市学研都市づくり課は「将来的には起業につなげてもらえれば」と期待を寄せる。
市は連携協定を締結する九州大や中村学園大・同短大、西南学院大などの研究者らに、例えば「JR一貴山駅周辺における快適な環境の形成」など、地域課題の解決などをテーマとした研究を委託。「白糸の滝での小水力発電」や「糸島産の小麦を使ったラーメンの開発」など、2010年から14年間で80件を実施してきた。同補助金は、その学生版。
4月の募集に対して7件の申請があり、書類選考を経て5月に選定委員会を開き、うち3件を選んだ。採用されたのは、
▽ウニの生態学や行動学的観点から基礎研究を行い、誰でも簡単に使えるトラップの研究開発と実証実験
(九州大農学部2年、眞継竜太朗さん)
▽キノコを育てた後、普通は焼却処分される廃菌床を使った新たな建築材料の開発と、生ごみを分解する菌糸の能力に着目し、食品廃棄物の処理コスト削減につなげる研究
(同大工学部4年、齊藤巧さん)
▽現状、食堂がない糸島農高が、「地域開放型の食を提供する場」の創造に取り組む、自校における「糸農食育道」。そのコンセプトの実現性を高めるため、食の現状や食育、地域活性化などに関する調査・研究を行い、同校における食の拠点づくりに関する提言書の策定
(中村学園大栄養科学部3年、中川原美瑠空さん)。
それぞれ研究に取り組み、来年2月の終わりか3月ごろに成果報告会を行う予定。
「定置網から発想を得て、ウニにも応用できないか」とウニトラップの研究に取り組む眞継さんは「磯を守ることで日本のおいしい魚を守り、全国の漁業者さんに笑顔を届けたい」と意気込みを語る。月形祐二市長は「3つの研究は、学生らしいユニークな発想のもの。どのような成果となるものか、私自身も今から楽しみにしている」と話した。