【糸島市】猛暑日23日 過去一番暑い夏

2024年の7、8月を総決算

福岡管区気象台によると、前原地点の今年7月と8月の最高気温35度以上の猛暑日は、23日。2018年と23年の15日を8日も上回り、観測史上最も多くなったことが分かった。また気象庁のデータによると、8月20日に観測史上2番目となる38.5度を記録。同19日に38.1度(同5番目)、同22日に37.9度(同6番目)、7月26日に37.6度(同10番目)を観測した(1位は17年8月5日の38.9度)。暑さが身にこたえたこの夏を振り返った(数値はいずれも9月1日現在)。

■58人を熱中症で搬送

糸島市消防本部によると、熱中症(疑い含む)で搬送された人は、7月から8月19日までに58人(7月32人、8月26人)と、昨年同期比で1人減だった。症状は、重症が1人、中等症29人、軽症28人。

 年齢別でみると、75以上が15人、65歳以上75歳未満が16人で計31人となり、全体の約53%を占めた。

 消防本部は「以前と比べ、高齢者も熱中症にならないよう、エアコンの使い方にも気を配っているが、お年寄りは体温調節機能や体内の水分量が低下したり、温度に対する感覚が弱くなったりするので、トイレが近くなるといって水分を取るのを控えるのではなく、小まめに水分補給を行って」と熱中症予防を呼び掛けた。

■農作業に大きな影響

 気象庁のデータによると、高温に加え、梅雨明けから雨がほぼ降らない日が約1カ月続いた今夏、農業の現場では「ハウスでも露地でも日中の暑さが厳しく作業が思うように進められなかった」と酷暑や雨不足に悩まされた。

 糸島市二丈の一貴山校区で農業に従事する若手農業者の集まり「ISK」のメンバーらは8月28日、校区文化祭用のもち米の田で、あぜの草刈りに励んだ。

もち米の田んぼの草を刈るメンバー。猛暑でもあぜ草は旺盛に伸びる

 野菜を専門とするメンバーは「土に湿り気がなく種をまいても芽が出ないこともあり、種まき自体を控えた。土が固くゴボウなど根菜も伸びきらない」。「ブロッコリーの定植が始まるが、このままだと植え付けをしても枯れてしまう。水やりの手間を増やすか植える時期を考えながらの作業」と話した。米麦専門のメンバーは大量発生したカメムシの被害に言及しながら「高温障害で、コメが白く濁る白未熟粒が増えている」と等級ダウンを心配。また「刈り遅れて品質が下がらないようにしなければ」と話し、台風シーズンの到来に気が抜けない状況が続く。

■各地に涼み処が開設

 高温が続いたこの夏、地域のコミュニティセンターや市役所などにクーリングシェルター「涼み処(どころ)」の水色ののぼり旗が立った。対象の施設では7月1日から8月31日まで、施設の開館日・時間において、ロビーの一角などに涼める場所を開放した。

 同市二丈の田中行政区の集会所では、自主的に開いた涼み処がにぎわった。同集会所では、毎週月曜に軽い運動を行う通いの場を開催しており、午前中の活動の後「一番ぬくか中帰るのは大変やけん」と開場時間を夕方まで延長した。回覧板で周知し、お盆をのぞく9月末まで毎週月曜は涼み処として開放する予定だ。夏休み中は、暑くて外で遊べない子どもたち数人も集まり、冷えた和室で、年齢を問わず一緒にできる卓球バレーなどを高齢者と楽しんだ。通いの場代表の野見山昭子さんは「徒歩で来れる距離にこういう場所があると助かる。独居も多い中、涼しい場所でワーワーおしゃべりをしてみんな楽しく過ごせている」と話した。

■アジア圏の観光客増

 糸島市観光協会によると、今夏は韓国や香港、台湾などアジア圏からの旅行客が増加。7、8月に同協会を訪れた外国人は594人で、昨年比17%増(8月28日現在)だった。好天が続いたため、外国人客を中心に自転車の貸し出しも好調。用意しているレンタサイクル30台ほどがすべて出払う日もあったという。

 同協会は「糸島のインスタ映えする写真がSNSを通して海外でも広まり、観光客が増えたのだろう」と話した。

 糸島市の観光名所、白糸の滝には涼を求めて観光客がつめかけた。駐車場には長い列ができ、周辺が渋滞する日も。同滝ふれあいの里の友岡秀文店長は「例年以上の人出で、ヤマメ釣りやそうめん流しもたくさんの人が楽しんでいた」と振り返った。

 一方、糸島市内の海水浴場にある海の家では、海水浴客が昨年より3割ほど減ったところも。SNS発信にも力を入れるが、連日続く暑さで客足が戻ってこなかったという。

■高級かき氷人気続く

 近年、天然氷や果物を使った高級かき氷が人気を集める中、糸島でも今夏、新規店がオープンしたり、新たにかき氷をメニューに加えたりする店が増えた。

 福岡市西区周船寺に先月20日オープンした「オコジョの氷菓店」。ふわふわ氷に果物の素材を生かしたソースをかけたかき氷専門店だ。オープンして間もないが家族連れなどでにぎわい、多い日には約40食を提供した。

こだわりのかき氷で涼を味わう人たち

 オーナーの城戸沙緒理さん(34)は「季節のフルーツを完全非加熱でソースにしている。暑い中フレッシュさが好まれたのでは」と話した。

 糸島市前原中央で氷を卸している「西川商店」によると「今年は一般の人も、家でかき氷をするからと氷を買い求めに来た」という。こだわりかき氷のブームは、食卓にまで押し寄せていたようだ。

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