【糸島市】深江石町遺跡に弥生のくし

全国初出土「大陸文化の窓口示す」

 糸島市二丈の深江石町遺跡で、弥生時代後期前半(約1950年前)の木製のくし「箆(び)」が見つかった。箆は長さ7.1センチ、幅5.5センチ、厚さ5~1ミリ。歯が70本もある精巧な作りで、出土は全国で初めて。市文化課は、同遺跡が中国の史書に登場する伊都国の西の拠点集落であり、「大陸の先進文化を積極的に受け入れた窓口であった貴重な証拠」としている。

上空から見た深江石町遺跡(市文化課提供)

 箆は6月上旬、同遺跡の1号土坑(長さ2.2メートル、幅2.35メートル、深さ35センチ)から、建築材や船形木製品、船の仕切り板の一部など大量の木器とともに出土。

深江石町遺跡で見つかった弥生時代のくし。
馬蹄型で、両端の親歯の間に70本の歯が整然と並ぶ

 古代中国の研究では、くしは髪をとかす歯が粗い「梳(しゅう)」と、シラミなど髪の汚れを取る歯が密な箆(び)がセットだが、福岡市の今宿五郎江遺跡や佐賀県の吉野ケ里遺跡、長崎県の原の辻遺跡で歯の数が8~24本の梳の出土が計4例あるが、これまでに箆の出土はなかった。

 同遺跡の発掘調査を担当した同課の江崎靖隆さんは、箆が中国・漢が朝鮮半島に設置した出先機関「楽浪郡(らくろうぐん)」(現在の平壌付近)の墓から出土していることを挙げながら、「今回見つかった箆は、漢代の中国で作られ、楽浪郡を経て伊都国にもたらされたと考えられる。この時代のくしの造形や大陸との文化交流の様相を解明する上で、極めて貴重な手がかり」と説明する。

 箆の一般公開について同課は「薄くもろいため、慎重に保存処理を施した後になる予定」としている。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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