【糸島市】《糸島新聞連載コラム まち角》雑草と呼べないわけ

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 庭の雑草取りに精を出す時期になった。わが家では、雑草が生えないよう庭の一部にコンクリート製の平板を敷き詰めているが、それでも雑草はたくましい。平板の継ぎ目から生え出し、緑の帯をつくっている。草取りは、ひたすら抜くという単純作業のためか没頭しやすく、庭がきれいになるという達成感もあり、つい長く続け、太ももが筋肉痛になることもある▼タンポポとか、スギナの名前は知っているが、しゃがみこんで向き合う草の名前をほとんど知らずに過ごしてきた。日本の植物分類学の基礎を築き、NHKの朝ドラ「らんまん」の主人公のモデルにもなった牧野富太郎は、こんな意味合いの言葉を残す。「世の中に雑草という名の植物はない」▼心の底から植物を愛した牧野富太郎の精神を見習い、雑草をただ邪魔なものとして扱うのではなく、その個性や美しさを見出してみることにした。まずは、名前を調べてみることから。庭で最も目にするのがハート形の小葉が3枚まとまった草だ。その姿から、ずっとクローバーの仲間と思い込んでいたが、調べてみると、カタバミという名前で、まったく別の種類だと分かった。確かに花を見ると、クローバーは丸いひと塊の白い花をつけるが、カタバミは黄色やピンクの5枚の花びらからなる花を咲かせる▼実は、このカタバミは、武士階級に親しまれて家紋のモチーフにされ、桐(きり)や藤などと並び、代表的な家紋の「五大紋」の一つに数えられる。カタバミは、地面をはって茎が伸び、繁殖力が強いことから、子孫繁栄を意味する縁起の良い植物とされたのだそうだ▼ただ、雑草は、光や水、養分を激しく奪い合う植物の世界で、生存競争に弱いとされる。このため、日当たりを好む背の高い植物が日光を独占するような森ではなく、ほかの植物がすみにくい場所で生き、競争しないようにしているのだという。もちろん、わが家の庭もそうだ。継ぎ目から茎を伸ばしても、人に踏まれたり、抜き取られたりしてしまう。それでも、生き抜いている姿を見ていると、雑草とは呼べなくなる。

(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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