産官民で「Jブルークレジット」推進
ワカメなどに含まれる成分「フコイダン」を活用した健康食品や化粧品を製造・販売するヴェントゥーノ(福岡市)と、糸島漁業協同組合、糸島市の3者は、海藻が光合成によって吸収・貯留する二酸化炭素(CO₂、ブルーカーボン)を数値として算定し、売買可能な形にした「Jブルークレジット認証」を取得した。

同漁協で2025年度に養殖された海藻類の重量などを基にどれだけのCO₂を吸収したかを計算した結果、約1.7トン分の吸収量が認められた。この制度は、藻場の保全や創出によって吸収されたCO₂量を「クレジット」と呼ばれる取引可能な価値に変える仕組み。企業が自社のCO₂排出量を埋め合わせする目的でクレジットを購入し、その資金が翌年度以降の藻場の維持・再生事業に充てられる。

「Jブルークレジット認証」は、民間団体のジャパンブルーエコノミー技術研究組合が運営。第三者委員会の審査を経てクレジットとして認証される。25年度は全国で52件が認証された。
3者は21年、「ブルーカーボンの推進における地域貢献協定」を締結。未利用となっていたワカメの一部であるメカブを同社が継続的に買い取ることで、ワカメ養殖業の収入安定と磯焼け対策の両立を図ってきた。認証取得に向けては、県ブルーカーボン推進協議会の協力を得ながら、ドローンによる藻場の撮影や海藻の計量などの調査を重ねてきた。

3月に市役所で開かれた同認証取得の説明会で、ヴェントゥーノの中野勇人社長は「Jブルークレジットの創出を通じ、環境保全と地域産業の両立を図るモデルケースとして発展させたい。海藻の価値を広げることが、海の未来を守ることにつながる」と力を込めた。
また、月形祐二市長は「県内初の産官民連携による認証取得。市の基幹産業である漁業の活性化につなげたい」と期待を寄せた。糸島漁協の畑中鶴見副組合長理事は「海洋環境の変化は人間の対応しきれない勢いで進んでいる。この取り組みが後継者不足の歯止めになれば」と話した。
藻場はCO₂を吸収・固定する能力が高く、同一面積の森林の約3倍ともされる。藻場の再生と保全は、海の生態系を豊かにするだけではなく、地域の活力創出にもつながる取り組みとして注目されている。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
