高校生ポスターセッションで優秀賞
「札甲」小札の新分類発表
糸島高校歴史部が、日本考古学協会の2026年高校生ポスターセッション(5月24日、東京都・青山学院大青山キャンパス)で研究成果を発表し、最高賞にあたる優秀賞を受賞した。11グループが参加し、優秀賞に選ばれたのは同校を含む3校。糸島高歴史部の日本一は2年ぶり5回目で、部員たちは「細かなデータの分析作業は大変だったが、その分喜びも大きかった」と笑顔を見せた。

今回の発表テーマは、古墳時代後期(6世紀)に日本に本格導入された甲冑(かっちゅう)「札甲(さねこう)」の研究。札甲は小さな板をつないで作るよろいで、部員たちはその部材にあたる小札(こざね)に注目。同校の郷土博物館に保存されている荒牟田1号墳(糸島市志摩小富士)出土の小札をきっかけに、札甲がどのように日本で広がり、形を変えていったかを探った。

これまで小札は形や大きさで分類されることが多かったが、同部はさらに、小札同士をつなぐための穴の位置や並び方にも着目。この新たな分類法を用いて、先行研究の資料をもとに、全国の小札を整理した。
その結果、札甲は「近畿で生産し、全国に運ばれた」という従来の見方に加え、関東地方で生産されたものもあった可能性を指摘。また、荒牟田1号墳の札甲は中国北朝系の特徴を持つタイプで、6世紀中頃に朝鮮半島を経てもたらされた可能性が高いことを示した。
発表では、小札の穴の配置に注目した新しい分類法によって、これまで見えにくかった地域ごとの違いや、時代による形の移り変わりを読み解けるようにした点が高く評価された。審査員からは「研究者のポスター部門に紛れ込ませても気づかれないほど完成度が高い」との講評があった。
研究の中心となった3年生の前田伊央里(いおり)さん、井上千颯(ちはや)さん、立花碧海(あおい)さんは昨年12月から研究を本格化させ、3、4月には休日返上で作業に没頭。土日には9時間以上研究を続ける日もあったという。
3人は「資料の計測やデータの分類は根気のいる作業だったが、全体像が見えてくると感動し、わくわくした。研究を進めるのは幸せな時間だった」と振り返った。
同部顧問の神野晋作教諭は「荒牟田古墳群は1960年に、歴史部の部員と顧問の大神邦博教諭によって発掘されました。先輩たちが掘り出した貴重な資料が、60年以上を経て今の生徒たちの研究につながり、新たな成果を生んだことをうれしく思います」と話した。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
