【糸島市】学生×企業=地域の成長

互いに学ぶ場 新たな価値創出

いとしまキャリアクエスト成果報告会

 経営改革に取り組みながら新たな価値を生み出す糸島市の企業と、仕事の楽しさや価値観、志、自身のキャリアを探究する学生をマッチングする実践型の中長期有償インターンシップ事業「いとしまキャリアクエスト」が実施された。学生が糸島で働く魅力を発見し、企業には新たな視点や業務改善策を取り入れる機会を提供する場となっている。

取り組み内容を発表する学生

 この事業は、ムーンベース合同会社が糸島市から受託し、運営を担当。「キャリアクエスト」の「クエスト」とは、日本語に訳すと「探究」。事業名には、「学生が自身のキャリアを探究し、新たな可能性を見つける中で、学生と企業が互いに学び合える場に」という思いが込められている。

 インターンは、2024年11月から25年2月にかけて実施。参加学生は、それぞれの企業で実践的なプログラムに取り組んだ。この成果報告会が19日、糸島市前原中央の「みんなの」で開催された。市内四つの企業でインターンを経験した5人の学生が、活動の成果を発表。受け入れ企業の担当者も出席し、企業側にとっての効果や学びについて報告した。

受け入れ企業の担当者からインターンの講評も

 糸島を拠点にするアウトドアメーカー「イマチュウ」では、九州大学経済学部3年の伊藤誉人さんが「製品開発」の一連の流れに関わり、「商品が形になる楽しさを実感した」と振り返った。また、家族ぐるみでの歓迎会などに「顔の見える関係の中で働く醍醐味を味わった」と話した。医療機器メーカー「オートシステム」では2人の学生がインターンを経験。同大共創学部4年の大屋太亮さんは「医療機器の新たなイノベーション」に対し、自身が専攻する文化人類学の手法を活用して新しいデザインの提案を行った。同大大学院システム情報科学府修士2年の吉田健人さんは、プログラミング技術を生かし「業務改善」に取り組み、業務効率を2割向上させた。プログラミング教室を運営する「イトシィ」では同大学工学部2年の高石渚さんが「中高生向け講座のSNSマーケティング」に挑戦し、ウェブマーケティングの強化に貢献。また、手作りせっけん事業を展開する「アイローカル」では、新規事業として養鶏を検討。同大学共創学部4年の松本純弥さんが「たまご販売の市場調査」を行い、事業の可能性を探った。

 学生たちからは「自分について知る機会となった」「専門知識を実践できた」「これからの学びへの意欲が高まった」「視野が広がった」といった声が寄せられた。一方、受け入れ企業からは、「新たな視点を得られた」「社内に良い刺激をもたらしてくれた」「自分たちでは気付かない学生ならではの視点で取り組んでくれた」と好評だった。

 同市経済振興部の小金丸敏浩部長は「学生たちが糸島で働くことの魅力も実感してくれたようで、今後の活躍が楽しみ」と期待を寄せた。事務局の大堂良太さん(42)は「この事業を通じ、学生と企業の新たな可能性が生まれ、地域全体が成長していける未来を目指したい」と今後の展望を語った。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

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