講演会 島根の取り組み紹介 —市役所—
人口減少地域が直面する課題を整理し、今後の対策について考える「人口減少に打ち克つ地域づくり講演会」(糸島市コミュニティ推進課主催)が15日、糸島市役所で開催された。講師は島根県中山間地域研究センターの東良太主任研究員。「若者世代に選ばれる地域づくり」をテーマに、島根県の取り組み事例を紹介した。参加者たちは、自らの地域づくりに生かすヒントを得ようと熱心に耳を傾けた。

人口減少の進む農山村地域では、核家族化の進行や交通網の発達により、地域コミュニティのあり方が大きく変化してきた。2015年に人口が大正時代の水準を下回った島根県では、住民が協力して地域づくりを進める「小さな拠点づくり」を推進。その一例として、安来市比田地区の住民が設立した「えーひだカンパニー」が紹介された。農産物の加工品などの生産販売をし、コミュニティの維持活動にあてるなど自治と生産の機能を兼ね備え、地域活性化に貢献している。
少子高齢化が進む地域では、多くの若者が地元を離れ、戻らない傾向がある。こうした人々を「他出子(地域出身者)」とし、地域とのつながりを維持する方法が模索されている。島根県の調査によると、地域の草刈りや伝統行事などには、戻ってきて参加する他出子の割合は約3割に達する。また、実家と関わりを持つ人々を詳しく分析すると、1時間以内に住む人や2時間以内の距離にいる人を含め、地域との結びつきが一定数あることが分かった。今後の地域づくりでは、地域住民だけでなく、他出子・次世代の子ども・他地域からの交流人口という四つの主体をつなげることが重要だと指摘された。
会場からは、「他出子のUターンを促進する方策を考えたい」との声が上がった。小中学校時代に地域との関わりが多いほど、Uターンにつながりやすいという事例も紹介され、地域住民が教育の場に積極的に関わることの重要性が強調された。同市二丈から参加した田中賢一さん(72)は「コロナ禍で地域活動が縮小し、このままでいいのか悩んでいたが、できることから始めたい」と思いを語った。
3月8日には、後編となる「防災を入口にした普段からの支え合いづくり」の講演が開催される。東氏は、兵庫県神戸市出身で、阪神・淡路大震災を経験。「自助・共助・公助」の防災の基本が、コミュニティーの希薄化によって機能しにくくなっている現状を指摘する。講演では、防災と地域づくりを組み合わせる方法や広域的なネットワークの活用について紹介する予定。東氏は「来月からでも始められる具体的な方法をお伝えしたい」と意気込む。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)
