沿岸部の事故想定 海上から救助訓練

野北救難所と糸島市消防本部

 沿岸部で事故が起こった際、海上からの救出に備えようと、県水難救済会野北救難所糸島市消防本部は16日、同市志摩野北の彦山北側沿岸で合同の救助訓練を行った

 同市志摩の野北海岸から大口海岸にかけての沿岸部は、岸壁が広範囲に広がっており、ロッククライミングでの事故が過去15年で4件発生している。救助の際は、消防本部が近隣の市にヘリコプターを要請するが、ヘリ数の不足や天候不順ですぐに救助に向かえない場合がある。また、陸からの救助は磯場(岩場のある海岸)への移動に時間がかかる上、資機材の携行が難しかったり、救助する側も危険が伴ったりする可能性もある。

 そこで、より迅速に事故に対応できるよう消防本部は、付近の潮流を把握する水難救済会と連携し、海上からの合同救助訓練を初めて実施した

 消防本部から参加した潜水士6人を含む10人と、野北救難所の3人が水難救済会の船に乗りこみ、事故現場を想定した岩場付近まで接近。潜水隊のゴムボートに乗り換えて接岸し、担架に要救助者を収容した後、再びゴムボートで船に戻った。

要救助者を船に収容する潜水士たち


 この日の海は、やや波が高い状態。今月新潟では、水難救助訓練中の消防士がおぼれて死亡する事故が起きており、参加関係者は安全性を考慮しつつ、救助の流れを確認した。


 寺﨑達也野北救難所所長は「今年は、ジェットスキーが故障したり離岸流にのみこまれたりといった事故も多かった。迅速に救助にあたれるよう、これからも(消防と)協力していきたい」と話した。


 消防署警備課の田中宏行課長補佐は、今回の訓練について「陸からの救助より短時間で行うことができ、意義あるものだった」と評価し、「海辺での事故は救助が困難になることもあるので、レジャーを楽しむ人たちは、事故の予防にくれぐれも努めてほしい」と呼びかけた。

要救助者がいる岩場までゴムボートを漕いでいき、接岸する潜水士たち
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