参加者ら古民家の風情味わう
糸島市二丈田中の国登録有形文化財、椛島家住宅で22日、県民文化祭「県民茶会」が開かれた。130年ほど前に建てられ、近代的な和風建築の好例とされる同住宅は瓦屋根や塀などの修復を終えたばかり。約150人が抹茶席や香の席に参加し、美観が保たれた古民家の風情を感じ取っていた。同住宅は11月から日曜日に限って一般公開、浮世絵約100点を鑑賞できる。
同住宅は1897(明治30)年ごろに建てられ、木造平屋(一部2階建て)の主屋を中心とした建築物。2014年に椛島禅徹さん(85)が土地と建物を取得、17年に文化財に登録された。昨年12月から、雨漏れを防ぐための工事が行われていた。
茶会は1階の書院広間で行われた。櫛田神社で山笠茶会を催している「南坊流」によってお茶が点(た)てられ、訪れた人たちは、風格があるふすま絵が飾られている広間でお茶や菓子を堪能した。香の席は、銀閣寺で生まれた家元制度の志野流で行い、参加者たちは回されてきた香炉を筒状にした手で覆って鼻に近づけ、最初に聞いた香りと後に回されてきた香りの異同を聞き当てていた。
11月から始まる一般公開で展示される浮世絵は、美女や俳優、風景などを描いた版画で、照明器具を手にして顔の表情や衣装などをじっくりと鑑賞できるようにするという。
椛島さんは「修復され、美観を保ったたたずまいで、多くの人にくつろいでいただき、うれしく感じています」と話していた。