ハクサイの害虫、生育障害
今年の秋はどうなっているのでしょうか。11月に入っても、夏日で雨も降らず。私がJA糸島営農総合センター「アグリ」に着任した1997年の11月(26年前)はみぞれ交じりの雨で、北風は冷たく、厚着をしないと外の作業ができないくらいでした。確実に温暖化が進行しているんだなと実感しています。
そこで、ハクサイを育てている方からの相談で、急増しているのが「害虫」と「生育障害」。「雨も少ないけん、しっかり水ばやって、立派にハクサイが育ちよるけん、喜んどったら、なんのよかろう、葉の下の方にアブラムシのびっしりついとるやかね」「小玉ハクサイが丁度よかサイズになったけん、収穫しようと思ったら、雨も降らんで、病気もなかとに縁の腐りようなかね」。
アブラムシは、今までにない高温と乾燥で、知らないうちに増殖しているようです。縁が腐れているのは、病気ではなく「縁腐れ症」という「カルシウム欠乏」が原因です。
縁だけではなく、半分に切った時、芯が黒く変色する「芯腐れ」も同様で、キャベツでも同じ現象が起こります。「糸島のかき殻石灰、シーライムば苗を植ゆるとき、振ったとですけどなあ」。問題はここから。畑に石灰をまき、カルシウムを補ったつもりでも、それを植物体が吸うかは別問題。土の中にカルシウムがあったとしても、ほかの肥料の入れ過ぎや、苗を植えたときか、結球が始まったときに雨が降らず、乾燥しすぎてしまうなどしたら、植物体はカルシウムを体内に取り込めず、こんな症状がよく出ます。
では対策。アブラムシ対策としては、プロの生産者は的確な薬剤を選択し、出荷など影響がないようにしっかり管理してアブラムシなどを防除しています。
しかし、家庭菜園の方は、面積もそう広くないから、防除法も限られてきます。そこで、お薦めなのが、ヤシの実やジャガイモ、トウモロコシを原料とした天然成分です。虫や病気(菌)を食品成分の膜で包み込んで退治してくれます。
カルシウム欠乏の対策としては、今年のように高温で乾燥日が続くようでしたら、水溶性カルシウム専用肥料「スーパーノルチッソ:500グラム」188円(税込)を1000倍に希釈し、葉や根に潅水(かんすい)することで、しっかりカルシウムを吸収することができますので、お薦めです。月に2度目安に与えるとよいでしょう。
結果には必ず原因があります。これからの農園芸管理は、天候や肥料の与え方などしっかり把握し、生育を見守っていく必要がありますね。今後、私も常に研究を重ね、皆様により良い情報を発信させていただきます。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)
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