【糸島市】運動 おしゃべり 元気ハツラツ 99歳吉野さん

健康長寿の秘訣は…

 週1回デイサービスに出かけ、ストレッチや運動マシンを使って体を動かし、お茶を飲んで集まった友人たちとおしゃべりをする。

 今年1月に99歳になっても元気はつらつに生活し、「皆さんのお手本です」と絶賛される女性がいる。糸島市在住の吉野凌子さん。健康長寿の日々の様子を聞いた。

自作の短歌を紹介してくれる吉野さん

 同市神在西にあるデイサービス「運動ひろば愛もっと倶楽部」に通う吉野さん。運動機能向上を目指したフィットネス感覚のプログラムで、2時間ほどかけてゆっくりと体を動かす。「吉野さんに会うのを楽しみに来てるのよ」と声をかける斎藤繁子さんは94歳。30年ほど前に民謡教室で出会った仲で、休憩時間には2人で朗々と「筑後酒造り唄」や「シャンシャン馬道中」を歌い上げる。時々歌詞が出てこない所があると「そこの歌詞はこう」とリードするのは吉野さんだ。「運動すればお腹もすくでしょ」と集まった利用者10人程度と和気あいあいと過ごす。

「どの歌を歌おうか」とにぎやかに相談する利用者の皆さん

 「お医者さんが疲れることはしなさんなと言うから」と今は市内の老人ホームに入居するが、昨年の8月までは時折ヘルパーの手を借りながらも、自宅で炊事洗濯、食事の用意とこなしていた。

 若いころから定期的に運動を心掛けてきたかを問うと「短距離は速かったけれど、運動はする方じゃなくて応援する方だった」。家事科の教師だった母のおかげで「料理は好き。食べ物は特に好きなものも嫌いなものない」とこだわりはない。地理、歴史の教師だった父の影響か「勉強は好きだった。特に歴史」。読んだ本は要約してノートに内容を書き留める。80代で「限られた文字数で感じたことを詠む」短歌にハマり、「読みやすいから」とパソコンを使って書き貯める。「テレビは世界のニュースを見るのが好き。知らないことが出てきたら人に聞いたり調べたり」。子どもの頃からの知的好奇心は今も健在だ。

 そんな明朗闊達(かったつ)な吉野さんにも弱気になった出来事が。90歳の時、股関節の軟骨が経年ですり減り、足が痛くて耐えられない日々があった。「こんなに痛い思いをするくらいなら」と思い詰めたが、娘の勧めで手術をした。術後のリハビリでは「60歳でもこんな早く回復せんよ」と医者に驚かれた。「丈夫な体に産んでもらった」と母に感謝し、好き嫌いせず食べ、定期的に体を動かし、興味のあることを探究する日々。

 「今年の夏アメリカに住む孫が会いに来てくれるのが楽しみ」。張りのある声に快活な話題展開。健康長寿にこれといった特効薬はないが「いかに生きるか」模範を見せ続けている。

吉野さんと花束
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この記事を書いた人

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