ドクター古藤の園芸塾Vol.60【2/9号掲載】

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連作障害 対策編

 前回は畑の規模にかかわらず発生する連作障害のメカニズムや、畑と田んぼの土壌環境の違いなどを説明しましたが、ご理解いただけたでしょうか。今回は完全ではありませんが、対策編として、その方法を整理してみます。

【輪作の徹底】

 まずは、輪作が基本です。輪作とは、ナス科のトマトの後に、アブラナ科のダイコンを植えるといったように同じ畑に違う種類の作物を植える方法です。

 土の微生物の餌の種類が豊富になることで有用な微生物が多様化。特定の作物を好む悪玉病原菌の増加が抑えられるため、病害が発生しにくい土壌になります。注意してほしいのは作物の相性。例えば秋ジャガの後にトマトやピーマンを植えるのは、同じナス科だからアウトです。

 またミズナやホウレンソウなど短い間隔で栽培する葉物野菜に多いのですが、同一場所での作付け頻度が高すぎると「過作」となって、連作障害と同じような症状に陥ります。

【有機物の積極的な投入】

 発酵樹皮や牛ふんなど、植物繊維質の多い有機物を入れると、土の中の多様な生き物の餌やすみかとなり、植物の根が健やかに生育する環境をしっかりつくってくれます。おすすめは糸島産の腐植樹皮堆肥「よか堆肥くん」。土がフカフカとなり、土に酸素が供給され、有用な微生物が活性化します。※悪玉菌は土壌が過湿となり、空気が遮断されると増発しやすい。

【作付けリズム】

 先ほど記述した「輪作の徹底」に加えて、同じ畑を利用する際、空けるべき間隔を表にしてみました。例えばハクサイは2年空けですから、可能な限り同一場所での栽培は避け、3年後に戻ってくるといったリズムが欲しいところです。

 表を見て驚かれた方も多いのではないでしょうか。スイカやナスはなんと6年空け。

 輪作すれば、次の作付け期間は短くなりますが、「そげん、空けたら、植えるところはなかばい」という声が聞こえてきそうです。

 このためスイカやメロンなどのウリ類の生産は、連作障害がでにくいカンピョウなどを台木にした接木苗をチョイス。夏季には太陽熱を使って土壌消毒など行います。

 ただ、連作障害克服の根本的な解決にはいたりません。土壌のバランスを考えれば、接木苗を活用しつつ、堆肥をタップリ畑に入れ込み、土を生き生きとさせることです。

 基本は、小スペース菜園であっても、可能な限り多様な作物を植えることで、土壌の中の微生物や栄養素が偏ったり、悪玉病原菌が増殖したりしにくくなります。

 イラストを参考に、連作回避のため、輪作を基軸に、作付け計画を立ててみてください。「今年のトマトは味わい深く何か違うな」といった皆様のお声お待ちしております。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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