魅惑のユリ/球根深く植え上根育て

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すっきりした花型

【ドクター古藤の園芸塾】 5

すっきりした花型

 この時期から早春まで、ユリの球根植え付け適期。ユリの女王と呼ばれるカサブランカやすっきりした花型のスカシユリ、芳香性ユリなど初夏に開花する豪華で楽しみなお花の一つです。
 植え付する球根価格は、決して安くなく、きちっと咲かせないともったいない話です。しかし、「植えても一度っきりしか咲かんかった」「もっとたくさん花が咲くはずなのに、1~2輪しか咲きませんばい」など相談も多く受けます。


 実は、毎年たくさんの花を咲かせるにはいくつかのポイントがあります。まずは植え方。 ユリは球根の下部からはえる根(下根)と、茎が5センチほど伸びたところから出る「上根」があります。大切なのは、上根には、水分や栄養分を吸収する役割があり、上根がしっかり育つ必要があります。球根を浅く植えてしまうと十分に上根が発達せず、株が育ちにくく、花数も減ってしまいます。よって、植え付けは地表面から球根2個分下目安で深く植えつけるのがポイントです。さらに球根上部に緩効性肥料を土と混ぜておくことも立派な上根を育てるポイントの一つです。

 次に花後の管理。 大きい球根は、初夏にはおおむね背丈150センチ前後まで茎葉を伸ばし、たくさんの花をつけます。よく開花終盤になると、地際から茎を切ってしまっている方が多いようです。ユリは花が終わる頃、背丈の半分の高さで上部を切り落とし、下部の茎葉は自然に枯れる11月下旬までしっかり育ててあげることがポイントです。


 月に一度の割合で株元にパラパラと追肥を与え、がっちりした茎葉が育てることで、大切な養分を地下の球根へ蓄え、来年花を咲かせる準備をします。
 茎葉が枯れた頃、球根を堀りあげ、3年ごと植替えをしてあげると、病虫害や生育不良などの発生が軽減されます。再度地中から芽を出し始めたら、緩効性肥料や害虫防除の粒剤などを株周りに施すとよいでしょう。
 ユリやチューリップ、スイセンなどの球根植物は、一度植え付けし、花を楽しんだ後、しっかりお礼肥を与えることで、毎年楽しめるお花です。
 梅や椿、桜の木などと同様に、毎年季節になれば花を咲かせる植物の感性と強さには驚かされます。私たち人間も植物のように強くたくましく生きていければといつも願っております。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2022年12月16日付

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この記事を書いた人

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