コラム まち角

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 第2次世界大戦末期、原子爆弾が落とされた広島市で19日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が開幕する。
 世界の平和と持続的な発展に向けた対話が被爆地でなされることを思うとき、7年前の平和記念公園で人々を感動させた出来事を思い出す。
 米国の現職大統領として初めて、広島を訪れたオバマ大統領(当時)は、被爆者が見守る中、原爆死没者慰霊碑に献花し、被爆者と抱擁を交わした。
 このシーンを見て核兵器廃絶に向け歴史的な一歩を踏み出したと感じた人は多かったであろう。
 このとき、オバマ氏はこんな演説をした。「私の国のように、核を保有する国々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」。さらに、こうも語った。「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてでなく、道徳的な目覚めの始まりとして知られるだろう」。
 オバマ氏の言葉は、核兵器廃絶に向けた行動に期待を抱かせたが、世界はその後、逆の方向へと歩んでしまった。ウクライナに侵攻したロシア。プーチン大統領は、同盟国のベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明した。米国との新戦略兵器削減条約の履行停止も宣言しており、ロシアによる核の威嚇は増大するばかりだ。
 核兵器廃絶長崎連絡協議会によると、世界の核弾頭数は昨年6月時点で1万2,720発。人類存続に危機をもたらすには有り余る数だ。三つ目の戦争被爆地は永遠にあってはならない。核兵器の惨禍を起こさせない誓いを、被爆地で示してみせるサミットになることを願う。

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