鹿家でクバうちわ展

手作りの優しい風を感じて

一つ一つ色も形も違うクバのうちわ。持つと手にしっくりなじむ

昔ながらの広いたたきの土間、縁側から見える庭のアジサイや南天-。糸島市二丈鹿家の野趣に富む古民家で、東麻美(ひがしあさみ)さん(39)はクバ細工のお店「亜麻工房」を営んでいる。


 東さんは、4年前に福岡市から移住。1年前に息子と石垣島を訪れた際、ワークショップでクバ細工の作り方を学んだ。

クバの若葉。淡いグラデーションが美しい


 クバは、琉球諸島に自生するヤシ科の植物。丈夫なクバの葉は、建材や民具など生活に必要な道具に細工され、神事や祭事にも使われている。


 「クバの葉のなめらかで独特な質感が、触っていて気持ちが良くて。柔軟性もあり、何でもイメージしたものを作れるところに可能性を感じました」。工房には、うちわ、かご、ランプシェードなどが美しく並ぶ。

クバで作られたかごも展示
クバのランプシェード。明かりがぐっと幻想的に


 クバの葉は「一番状態が良いから」と、与那国島から直接取り寄せる。約1メートルの大きさの葉を天日に干し、重しで押さえて、また乾燥を繰り返す。作品の完成には、1カ月以上かかる。


 「人間と同じで、植物も一つ一つ違う。その良さを最大限引き出したい」。葉の魅力を見極めるよう、自分と対話しながら制作する。


 うちわを手に持つと、柄の反った部分が手に優しくフィット。あおぐと、プラスチックにはない柔らかな風が心地良い。


 「水にも火にも強いので、お皿として使っても大丈夫。においも残らず、洗えばすぐ乾く。最終的に土に返せば、ゴミにもなりません


 依頼があれば、出張ワークショップや三線ライブも行う。沖縄の平和についても、絵本の読み聞かせなどを通して伝えている。


 30日まで同店でクバ団扇(うちわ)展~50枚の団扇たちを開催中。うちわには「初蛍(はつほたる)」「日々(にちにち)是好日(これこうじつ)」など、一つ一つを愛おしむように名前が付けられている。

「ぜひ手にとって、感触を味わってほしいです」。うちわは1枚2,280円。

亜麻工房
住所  糸島市二丈鹿家484
連絡先 080(1724)2832

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この記事を書いた人

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