ドクター古藤の園芸塾Vol.27

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梅雨入りし病害拡大注意報

今年は梅雨入りも早く、連続した降雨に曇天は、露地野菜にとっては、過酷な条件となっています。梅雨など四季がある日本だからこそ、作物もどうにかこの時期を乗り切って、私たちにたくさんの恵みを与えてくれます。ところが、「キュウリの葉が白くなっとる」「ナスの下葉がでれぇ~となって、黄色くなっとります」「オクラの苗のいっちょん太りまっせんばい」などの相談が多数寄せられています。


 日照不足に加え過剰な水分と、過度の基肥などで作物自体の病害に対する免疫力低下が発生するのが原因で、さらに中途半端な気温の影響によって、病原菌の増殖が懸念されています。


 私たちの身の回りでも、梅雨期はいろんなカビ対策時期でもあり、作物も同様です。特にカボチャなどのウリ類では葉に白い粉をふりかけたような「うどんこ病」。また、キュウリはうどんこ病に加え、葉が黄色く変色する「べと病」も発生します。

キュウリのうどんこ病


 この「べと病」は花木のバラでも葉が黄化し落葉させてしまう病害です。また、ナスの下葉が黄色くなり、垂れてくるのは「半身萎凋(いちょう)病」で、土壌病害菌がナスの生育を阻害しています。


 うどんこ病も、べと病も空気中を浮遊し、風などで飛ばされ葉に到着し、シイタケみたいなカビが葉に侵入し、病害が拡大していきます。ナスの半身萎凋病の菌は土壌中に生存し、根から侵入します。20~25度が菌の動きやすい適温なので、この時期は菌の増殖にとって好都合というわけです。


 そこで、防除をどのように行うとよいのか。


 プロの生産者や直売所出荷者などは、研究された薬剤を希釈倍率や散布量など決められたルールに基づき、病害防除しています。


 しかし、栽培本数が少なく、いろんな野菜を菜園で育てている皆様にとって、薬剤散布は少し難しい面もあります。そこで、身近な素材を使って病害予防の裏技をご紹介致します。


 まず、うどんこ病対策として「重曹」の活用。重曹は農林水産省、環境省から、農作物や人畜、水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして指定された「特定防除資材」として認可されています。病害治療としてシャープな効果は期待できませんが、安全で有機的に対応できる防除材として活用できます。重曹はその中のナトリウムイオンが病原菌の細胞に浸透。イオンバランスを崩すことによって細胞機能に障害を起こすことで殺菌効果を生むといわれています。

重曹


 使い方は500倍希釈(2リットルのペットボトルの水に重曹を大さじすり切り1杯)。うどんこ病などのカビの症状部分に直接噴きかけると、徐々に病斑の拡大がおさまります。効果が薄い場合は、葉が乾燥してから、何度か噴きかけてみてください。


 注意点は、重曹の濃度が濃すぎると、植物が硬くなることにより、枯れてしまったり、奇形になったりしますので、ご使用にはご注意ください。


 曇天で湿気が多いこの時期。日照不足で、作物の生育にはとっても厳しい時期なので、どうにか有機的防除で梅雨を乗り切ることが大切です。


 次回、次々回は、梅雨期におけるキュウリのべと病やナスの病害対策、更に栄養補給の与え方などについてご紹介します。皆さんも、しっかりと梅雨時期の健康対策をとり、お体を大切になされてください。
(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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