ドクター古藤の園芸塾Vol.52【12/8号掲載】

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緩効性肥料で追肥の手間減らす

 プランターなどに植えつけた人気のパンジーやビオラなどの草花。根が落ち着いて花数がぐんぐん増えていきます。朽ちた花柄などをこまめに取り除いて、種をつけないように管理すると、株が衰えず長期間花を楽しむことができます。ただしもう一つ花を長く咲かせる重要なポイントが「追肥」。本来、パンジー、ビオラはたくさんの栄養(肥料)を好む性質をもった品目です。

 さらに、植え付け初期は、肥料入り培養土などを利用するので、一定期間の養分は供給されますが、吸収される分と水やりでプランターから養分が流れ出すなどしていくため、花を咲かせる土の養分はどんどん減少していきます。そこで追肥は重要な栄養供給となります。

 機能的な肥料と使用方法の開発は、私の研究テーマの一つ。追肥は、こまめに植物を観察し、気温や日照など天候をみながら判断して行ないますが、品種改良が進んだ結果、肥料の吸収パターンは複雑化。気候変動が激しい昨今は、過去の経験に頼るだけでは、なかなかそのタイミングを計りにくいのが実情です。

 そこで、機能性が高い肥料を追肥として施し、あとは水やり程度でOKなんてことになれば、プロだけではなく一般家庭の方でも、生育管理が楽になるし、きちっと肥料効果も発現します。メーカーの肥料特性を踏まえ、植物にとって多かったり、少なかったりとならないよう施肥の方法を常に研究しています。

 今回紹介するのは、肥料効果がぶれずに、水やりだけでしっかり植物が吸収してくれる緩効性肥料

 大粒の「IB化成S1号」(当店価格2キロ、763円、ジェイカムアグリ社)は、土の上にまいておくと水分と触れることで、チッソ、リン酸、カリウム、マグネシウムがゆっくり溶け出す加水分解型肥料。散水量で変化しますが、おおむね1~2カ月間、安定した効果が得られます。一年中利用できるのですが、特に気温が低下し、吸収力が弱る晩秋から春にかけては効果が高く、パンジー、ビオラやナデシコ、シクラメンなどの冬春花にはお薦めです。

IB化成S1号
IB化成S1の特長

 特長は、急激に肥料が溶けないので、根の肥焼けによる生育障害がおこりにくい▽粒が大きく(5ミリ~10ミリ)鉢物・育苗にも最適▽スタートがおだやかで持続型(70~80日)▽主要成分が偏ることなくバランスよく溶出し、吸収されるなど。

 与え方の目安として、プランターは15~20グラム 重さの目安は20粒で約10グラム。3号鉢(9センチポット)3~5粒、5号鉢(15センチポット)5~10粒、花壇1坪当り100グラム、花木(ハナミズキなど)20~30グラム/本。植物の根にやさしく、肥料成分が無駄なく吸収される、安心安全な肥料です。草花から野菜、観葉植物とほとんどの植物に使用できるので、常備肥料として最適です。

追肥の様子
少し土に抑え込むとより効果あり

 楽しめる園芸を提案するのも私の仕事です。ぜひ参考にして植物をかわいがってください。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二

※糸島新聞紙面で、最新の連載記事を掲載しています。

古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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