鎌倉時代創建の龍國寺
鎌倉時代以来800年以上の歴史を誇る糸島市二丈波呂の龍國寺(甘蔗和成住職)で、本堂の屋根などの改修工事が完了した。7月18日、関係者らが集い、しゅん工式が行われた。
龍國寺は1203(建仁3)年、原田種直公が平重盛公を開基として、原田氏を頼って二丈唐原に隠れ住みながら、源氏の追っ手によって殺害された重盛公の奥方、千姫、福姫、平家一門の菩提(ぼだい)を弔うため、小松山極楽寺を建立したのが寺の始まり。本堂は1839(天保10)年、火災で焼失。翌年再建された。檀信徒の先祖を供養する大切な場となっているだけでなく、学びの場、集いの場、楽しみの場ともなっている。
2018年、本堂の損傷状況を調査。老朽化していた屋根などの修理について検討するため、20年に修復委員会を立ち上げ、21年に「唐破風(からはふ)」も含めた全ての屋根瓦のふき替えと回廊、濡れ縁などを修理することが護持会総会で決議された。
23年8月23日に起工式(安全祈願祭)を実施。「お参りしたいけれど、お寺は階段ばかりで…」との声もあったことから、車いすを利用する人たちのために外の通路と庫裏(くり)の段差を解消する昇降機の設置や、オストメイトにも対応した多目的トイレの増設、裏門からの通路も整備した。
甘蔗住職は「檀信徒の高齢化が進み、皆さまのご理解を得てバリアフリーに取り組んだ。高齢や障害のあるなしにかかわらず、いつまでも安心して本堂や蓮華薹(れんげだい)にお参りできるよう心掛けた」といい、「古い古いお寺から新しい機能を備え、皆さまに喜んでいただける施設になりましたことを本当にうれしく、ありがたく思います」と感謝の言葉を述べていた。