糸島市前原中央の法林寺で2月19日、全国各地から60人を超える青年僧侶が集まり、これからのお寺の在り方を考える研修会が開催された=写真。法林寺は2年前に本堂を再建し、そのデザイン性が評価されグッドデザイン賞を受賞した注目の寺院である。

研修会では、法林寺住職の笠信純氏が再建に込めた想いを語り、再建を手がけた建築家の古森弘一氏が「お寺の役割」について講演。また、糸島に拠点を置く雲孫財団の諸藤周平氏、ウェルビーイング研究者の石川善樹氏も登壇し、地域社会の未来や心の健康について考察した。
ウェルビーイングを高めるためには、多様なコミュニティとのつながりが重要であり、一つの集団に属するより複数の関係を持つことで心の安定が得られると指摘。また、人は状況に応じて異なる「顔」を持つ「健全な多重人格」を保つことが、より豊かな生き方につながると述べられた。
現代社会では「何者かでなければならない」というプレッシャーが強まる中、お寺が「ただそこにいる」ことを許容する場としての価値を持つことの重要性が議論された。企業が利益を追求する一方で、お寺は世代を超えて存続し、人々が安心して関われる場であり続けることが求められている。
今後、お寺が地域とどのようにつながり、持続可能なコミュニティを築くかが課題となる。全国の青年僧侶が実践や課題を共有し、お寺の可能性を広げる有意義な研修会となった。
(浄土真宗本願寺派・霍野廣由)
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