【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.169(5/22号掲載)

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おいしくなるナスの栽培法

 4月上旬からゴールデンウイークに向けて、苗の植え込みや種まきされた春夏野菜。代表的なトマトやナス、キュウリにオクラなど果菜類系が多いですね。それにエダマメやインゲンなど豆類もこの時期ならではの作物です。

 私の経験値では、この頃から、栽培にあたっての相談が増えてきます。例えばスイカなどは、植え込んだ直後からの初期生育は非常に緩慢です。苗を植えた後、根の活着に時間を要し、浅めに根が広がり始めると、ツルも同時に伸び始めてきます。気温の上昇に伴い、伸び始めたと思ったら、今度はぐんぐんとツルを伸ばしていきます。

 すると、「古藤さん、うちのスイカくさ、雄花ばっかり咲いて、雌花のつかんとですたい」「植えてツルが伸び始めたとき、芯を摘むのを忘れて、どれが親ツルか子ツルかわからんごとなった」などの相談。順調な生育だとしても、管理が重要な時期となります。そこで、今回は相談が多く寄せられていた春夏野菜のナスについて取り上げました。

肌色につやがなく薄紫色のナスの実

 まずは、実が硬い。「うちのナスくさ。中長ってやつの苗を買って、たくさんなりますって紹介されとったとです。そしたら、なることはなるとばってん、実の肌が照らんで、ぼやけとう紫色で、おまけに硬うして、いっちょんおいしくなかとです。こりゃ参った。引き抜こうごたあ」と元気がいいおじいちゃん。私も実がなっていること自体、すばらしいと褒めつつ、お話を聞き取りました。

 「いつ苗を植えたとですか」「そりゃー、4月の中旬に、きれいか苗の出とったけん、すぐ買って、すぐ植えたですばい」。なるほど。「苗は大きかったですか? 苗の先端に花蕾(からい)が着いとったですか?」と聞くと、「苗は小さかったし、花やらついとらんやった」。納得。それは、早植えが原因です。「ナスは、葉のいっぱいついて、一番花がついた大きい苗を、4月下旬から5月上旬に植えるとが一番よかとです。つぼみもついとらん小さい苗を植えたら、硬かナスしか実をつけんですよ」と最終判断の返答。

 解説します。一般的に言う「石ナス」現象。果実の発育が悪く、硬くて小さい。受精できないときに単為結果して小果実になってしまいます。栽培初期に低温で花粉の発芽・伸長が不良となり、完全に受精していない果実で発生することが多いです。また、果実内にホルモンが不足しているなどが考えられます。

 低温期に小さい苗を早く植えてしまったため、株の充実が図られず、体内の養分の流れが悪く、受粉器や花粉などが充実せず、実がついても、不完全な実、つまり硬くてみずみずしさが乏しい実となってしまいます。なかなか急速に回復しませんので、手立てが必要です。

栄養を失ったナスの花。
花弁が薄紫色で、中心の柱頭が黄色のがくと同じ高さになってしまっている

 まずは、一定期間連続して果実の摘果を行うことと、肥料効果が早い液体肥料をこまめに与え、濃い紫で大きい花が咲くまで、株を勢いよくさせます。さらに、JAや園芸店でカルシウム専用肥料を入手し、粒状なら、株元にまく。希釈対応でしたら、水に溶かし、月に2回程度与えてください。

 近年は11月も気温が高めに推移していますので、ナスは長期に渡って、収穫できる大切な品目です。途中、不用な茎葉の剪定(せんてい)など行い、光が果実に十分あたる管理をすることも大切です。今年は、ぜひ、おいしい秋ナスの収穫を楽しんでください。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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