【糸島市】修理がつなぐモノと人 —糸島で「リペアカフェ」—

「諦めたらごみ。直ったら宝物」

 持続可能な社会づくりを目指すSDGs。その目標には「つくる責任、つかう責任」といった、私たちの暮らしに直結する項目も並ぶ。そうした中「物を修理しながら使い続ける」という昔ながらの知恵が、いま改めて見直されている。

 「リペアカフェ」-。店では修理を断られた家電や衣類、自転車などを地域のボランティアが無償で直す、オランダ発祥の取り組み。この活動を追ったドキュメンタリー映画(ユナイテッドピープル・2024年公開)の上映と修理実践を組み合わせた「リペアデー」を、糸島市前原中央でノドカフェを営む坂本敏幸さん強美さん夫妻が続けている。

 リペアデーはノドカフェで昨年9月に始まり、雪のちらつく先月11日には、同市志摩のコミュニティスペース「まるゐと」で3回目が開かれた。

 これまでの会場には草刈り機や扇風機、破れたズボン、割れた皿など、さまざまな「直したいもの」が持ち込まれた。会場には多様なリペアラーが集う。電機メーカー勤務の経験を生かして家電を直す人、洋服のリフォームを手がけながら一緒に修繕方法を教える人。金継ぎで割れた器などをよみがえらせる人もいる。専門家に限らず、知識や技術を持つ人が「直し手(リペアラー)」となり、持ち主と一緒に分解や点検、修理に挑む。

草刈り機を修理する参加者。「これで作業再開できる!助かった」

 「初めて分解して中身の構造が分かった」「コードが切れていただけだったのね」。会場のあちこちから驚きの声が上がり、再び動き出した瞬間には思わず拍手が起こったと坂本さんは振り返る。どうしても直らないものがあっても「次買うときは修理しやすいものを選ぼう」と前向きな声が聞かれたそう。「調子が悪いからと、すぐ買い替えるのではなく、知恵があれば長く使い続けられると分かった」と満足そうな声もあがった。

 焚き火で穴の開いた上着にワッペンを当てた敏幸さんは「直すのを諦めたらごみになる。でも、直ったら宝物になるんです」と、修理によって生まれる愛着を語る。

成長期の息子のズボンの裾だしを教えてもらい実践する参加者。「ずっと気になってたからうれしい!」

 大量生産・大量消費が前提の現代では、修理より買い替えが安い場合も少なくない。それでも敏幸さんは「直すことで仕組みを知り、できることが増える喜びがある」と話す。強美さんはリラクゼーションを提供しながら「体のリペアも承ります」と笑顔を見せる。「直したいものは、物だけでなく人との関係や自分自身のことかもしれない。直せる人が教え合い、感謝やつながりが生まれる循環を育てていきたい」と目を輝かせる。

 物を直すことは、暮らしを見つめ直すことでもある。小さな修理の積み重ねが、持続可能な社会への確かな一歩になっている。

 3月15日に4回目のリペアデーをノドカフェで開催予定。
お問い合わせは同店=090(1852)1102。

糸島新聞社ホームページに地域情報満載)

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この記事を書いた人

1917(大正6)年の創刊以来、郷土の皆様とともに歩み続ける地域に密着したニュースを発信しています。

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