【糸島市】《糸島新聞連載コラム まち角》

まち角アイキャッチ

糸島市が大切な舞台の一つとなるNHKの連続テレビ小説「おむすび」。今秋から放送されるドラマを応援しようと、本紙で連載している「『おむすび』にエール‼」では、そのタイトルにちなんで、地域特派員がお米やご飯にまつわるさまざまな話題も取り上げている▼今週号は、おむすびをおいしくするためのご飯の炊き方。ちょっとした工夫をするだけで、味わいがよくなるというのだから、ぜひ、試してみたい。主食の料理法なので、たくさんの知恵が世の中にはあるだろう。興味がわいてきてネットで調べてみた。意外だったのが、ご飯を炊く前に、お米に冷水を吸水させておく方法。釜に氷を加えたり、冷蔵庫に釜を入れておいたりして冷やしてから炊くと、お米のでんぷんがしっかりと糖分に分解されて甘みが出るのだという▼ただ、冷水での炊飯には、苦い思い出がある。学生時代、登山サークルの活動で北アルプスを縦走した時のこと。後輩が炊いたご飯を一口食べたとき、もうそれ以上、ご飯を口に運べなくなった。米の芯が残っているばかりか、ぬかの臭いもして疲れ切った体が受けつけなかった▼無洗米がまだない時代。高山で炊飯するとき、米を研ぐ水は雪渓から流れ出す刺すような冷たい水。さすがに、後輩も、気圧が低く水の沸点が下がる高山で、さらに、米を研ぎもしないで炊いたら、どんな味になるか想像がついただろうに…。それをしてしまった▼おむすびは、手のひらで握るもの。手のひらを指す言葉として「たなごころ」がある。現代新国語辞典によると、その語源には「手の心」という意味がある。握手した時の温もりで、相手の気持ちが伝わってくるように、手のひらは心と深く結びついていると思う。おいしいおむすびとはー。食べる人に愛情を込めながら、たなごころで握ったもの。それが最上であろう。

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