生きた資材/堆肥で「地力」をつけ

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「糸島よか堆肥くん」。臭いもなくフカフカしているのが特長

【ドクター古藤の園芸塾】 2

「糸島よか堆肥くん」。臭いもなくフカフカしているのが特長

 近年、世界経済の影響を受け、作物栽培に大切な肥料をはじめとした農園芸資材の値上がりに、歯止めがかかりません。資源に乏しいわが国にとって、原料のほとんどを輸入に頼ってしまっている結果なんでしょう。そこで、高くなった肥料の施用量を減らしながら、立派な植物を育てるのに重要なのが「地力」つまり、土が肥えてることです。その土を肥やすのが「生きた資材」。生きた資材?初めて聞く方も多いでしょうが、ずばり堆肥のこと。
 堆肥の種類や働きなどは多岐にわたりますが、大きな役割は三つあるとみて、私は日々研究を重ねています。


 一つは、土の微生物など有益な生き物の棲(す)み処であり、餌であること。
 堆肥は化学肥料などにはない、土を活性させる土壌微生物の棲み処となり、堆肥を餌に多用な種類の微生物が増え、悪玉の病原菌を抑えたり、通気性を向上させたり、幅広く土を活性させる力があります。


 二つ目は、土の中の質のいい水を維持できること。
 化学肥料を使いすぎたり、油粕など天然成分だからといって、入れ過ぎたりすると、土が徐々に腐敗していき、土そのものが病気になってしまいます。すると土の中の大切な水分までが痛んでしまい、痛んだ水分を吸収してしまった植物も虚弱で味の悪い生育となってしまいます。


 三つ目は、肥料などで供給しにくい、ミネラル類等を補うこと。
 堆肥には微量でありながらも、植物の生長に不可欠なミネラル類を供給し、バランスよい養分吸収をサポートする力があります。


 堆肥は本来、多量の栄養素を含んでおらず、施用してもなかなか大きな変化が見えにくいところがあります。化学肥料などのほうが、茎葉が大きくなったり、色が変わったりするので、堆肥の施用は、見合わされる方も多いようです。
 いやいや、堆肥は土や植物生長へのミラクルの力を秘めているので、あなどれません。
 JA糸島アグリの一押しの堆肥は、シルバー人材センターの皆さんが糸島の一般家庭の樹木を剪定(せんてい)した、枝葉を細かく粉砕、長期発酵熟成させた「腐植堆肥〝糸島よか堆肥くん〟」がお薦めです。菜園に果樹、樹木、プランター栽培など利用ステージを選びません。
 与える量は、菜園は7キロ/坪を土と混ぜる。果樹、樹木は5キロ/坪目安に株元の地表面にまく。プランターは培土に対して2%混和目安。
 「土がフカフカになった」「植物の病害が減った」など高い評価を頂いています。価格は40リットル(約15キロ入り)494円(税込)。土作りは奥が深いですよ。

(JA糸島経済部部長補佐、アグリマネージャー 古藤俊二)糸島新聞・2022年11月25日付

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この記事を書いた人

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