【声の野鳥だより】8

カモらしくない高い声/ヒドリガモ

撮影:野鳥録音家 田中良介

 カモ目カモ科の中では中型で、体長は48.5センチ。灰色のくちばしは短く、首もやや短いカモです。オスの特徴は、額から頭の真上にかけて縦に黄白色の明るい色があることです。この黄白色の部分があることで美しい印象を見るものに与えます。
 顔から喉、前胸は明るい茶色、体の大部分は灰白色。尾は黒い。翼の中ほどに白い部分があって、飛ぶと、この翼の白い部分がとてもはっきりと目立ちます。一方で、メスは他のカモと同じで体全体が暗い褐色。尾の付け根は黒く地味な体色をしています。

 カモの基本的な鳴き声は「グェー、グェー」ですが、ヒドリガモのオスは高い声で「ピュー、ピュー」、「ピーウィー、ピーウィー」と鳴きます。カモの仲間とはとても思えない高くて美しい声です。これに反してメスはカモらしく「グェー、グェー」、あるいは「ガァーガアー」としゃがれた声で鳴きます。
 植物質の餌を食べますが、ことに好むのが水藻類で、アマモ、アジモ、エビモなどの根、葉、茎。ほかにはイネや、イネ科植物の種子や根、スギナモ、アオノリ、フラスモ、ヒンジモを好んで食べます。時には水生昆虫のトビケラ、ヤゴ、カワゲラなど、また小さい貝類も食べています。
 街中の川から低山の農業用ため池などにも飛来するので、目にする機会も多いカモです。

ヒドリガモの鳴き声

(野鳥録音家・田中良介)

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