いとしま伝説の時代

玄界灘のともしびの山 「火山」の伝説

 前回の19日付で紹介した「火山の瑠璃光」のお話よりも昔のこと…「火山」には、他にも伝説が残されています。
 一つ目は、このお話にもある神功皇后にまつわるもので、三韓征伐で朝鮮半島へと向かう道中、火山で「烽火(のろし)」を上げたというもの。


 二つ目は、663年に朝鮮半島で起こった白村江の戦いにまつわる伝説です。倭国(日本)は、唐・新羅の連合軍によって滅ぼされた百済の復興を支援するため援軍を送りますが、大敗してしまいます。


 のちに、大陸からの侵攻に備え、九州北部から瀬戸内・近畿地方にかけて古代山城が築造されたとみられていますが、この他にも、防人や烽火台が置かれたことが『日本書紀』の記述に残されており、火山も烽火を上げた山として利用されていた可能性があります。


 現在、この「火山」における調査・研究に福岡県立糸島高校歴史部が取り組んでおり、火山の位置や周辺地域などとの関連性から、火山に烽火台が存在していたとの仮説を立て、実地調査を重ねています。


 これまでのところ、加工痕を持つ石材、須恵器の破片、石英などを発見していますが、烽火台の存在を確信づける証拠の発見には至っていません。今後も継続した調査が必要でしょう。
 (志摩歴史資料館

 ◇ 企画展「いとしま伝説の時代-伝説の背景にあるもの-」は9月10日まで、糸島市・志摩歴史資料館で開催中。同資料館092(327)4422

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