中山間地域の課題取材

SDGs探検隊 瑞梅寺の井上さんに聞く

 糸島市の児童や生徒、大学生が持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む市内の人たちを取材し動画にまとめて発信する「いとしまSDGs再発見プロジェクト事業」の探検隊メンバーが16日、同市の瑞梅寺行政区を訪ねた。井原山などの豊かな自然が広がる地域の魅力を体感する一方、地元の人から少子高齢化によって起きているさまざまな課題を聞いた。

井上和雄さんから里山の現状を聞く探検隊のメンバー


 2年目となる探検隊(17人)は、中山間地域が都会の人を引き付けるブランド産品の生産地で、観光地になっていることにも着目。ただ、この地域は人口減少の問題を抱え、将来にわたって、この地域をどう守っていくのか、取材を通して考えることにした。


 この日は11人が参加。怡土小に統合された瑞梅寺小跡にある市立「瑞梅寺山の家」で、元瑞梅寺行政区長の井上和雄さん(72)から地域の現状を聞いた。井上さんによると、行政区では約50世帯が生活をしているが、半数以上が高齢者の暮らす家。専業農家は3世帯のみで、大半の家が兼業農家という。


 こうした状況下、課題となっているのが土手などの草刈り。「放置して茂みになると、イノシシのすみかとなり、コメなど農作物の被害が大きくなる」と言い、里山の環境保全を続けていく大切さを強調した。


 一方、山の家でのキャンプ体験が都会の人の人気になっているのをはじめ、のどかな暮らしを求め、この10年で7世帯が移住してきたことも紹介。5年ほど前はいなくなっていた小中学生が現在7人になっていることも話した。この後、井上さんは探検隊と農地を見て回り、イノシシから水田を守るために設けられた鉄柵や竹林が増え続けている状況も説明した。


 井上さんは「いつまでも古里を守っていきたいと願う、地域の人たちの気持ちが伝わったと思う」と、探検隊の活躍に期待。探検隊の糸島高1年、寺田有里さんは「里山のすがすがしさを肌で感じ、いつまでもこの雰囲気を守っていきたいと思った」と感想。探検隊メンバーは現地取材で多くのことを学び取っていた。

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この記事を書いた人

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