コラム まち角

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 いきなり、新年に襲い掛かってきた大地震と津波。発生したとき、90歳近い両親が2人で暮らす山口県の実家に帰省していた。倒壊した家々、燃え広がる輪島の火災…。テレビが伝える能登半島地震の被災地の惨状に、多くの人たちの命が救われることを祈るばかりだった▼海岸に津波が押し寄せる映像が流された。そのとき、不安がこみあげてきた。実家は瀬戸内海に臨むエリア。南海トラフ地震などが起きたとき、「うちは大丈夫か」。両親は、どうにか支え合って普段の生活を送っているが、足はめっきりと弱ってきた。津波が迫る中、歩いての避難はとてもできない▼すぐにインターネットで地元の自治体が作成したハザードマップを調べた。実家一帯の最大の震度予測は震度6強、津波については浸水地域から外れていた。これをもとに、大規模な災害が起きたとき、どう行動をとるのか、両親と話し合った▼実家は木造家屋だが、建ててから日が浅く耐震性は高い。倒壊に対する注意は重要だが、まずは大きな揺れを感じたら倒れ掛かってくる家具がある周辺から離れることを認識し合った。あらためて家具の固定を厳重にしておくことにした。津波の浸水想定区域外だが、念のため、両親は実家2階で過ごし、県外で暮らす子どもたちが駆けつけるのを待つという「自助」で話はまとまった▼翌朝、被災地の状況を心配しながら量販店に出かけた。目的は非常食と飲料水の備え。缶詰類の蓄えはしているが、それだけでは食が進まなくなる。両親の希望でカップ麺をそろえた。保存期間は缶詰と比べて短いが、賞味期限を確認しながら買い換えていく。厳寒地で避難生活をしている被災者に心を寄り添わせながら、家族と自身を守るための備えをしっかりとしていきたい。

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