生成AIで描く 10年後の理想の糸島像
糸島サイエンス・ヴィレッジ(SVI)構想は、九州大学伊都キャンパスの西側(糸島市志摩馬場地区の50~60ヘクタール)に、学術研究都市を構築するプロジェクト。糸島市の多様な地域資源と先端技術を融合し、地方が抱える課題に向き合い、解決することで人々の暮らしを豊かにし、地方創生のロールモデル(理想像)となることを目指す。
SVIの特長は、最先端の技術が日常生活に溶け込み、市民がその成果を直接体感できる点だ。
例えば、生成AIによるデータ分析と予測による「スマート農業の実現」や、「再生可能エネルギーを活用した地産地消のエネルギーの確立」などの研究・実装を推進。そのほか、市民が生成AI(人工知能)を活用して、未来の糸島の理想の姿について考える「SVIまちづくり学校」の取り組みも始まっている。
科学の村として稼働しはじめるまで約3年。その間、市民や事業者が主役となり、研究者や学生らと交流しながら、みんなで糸島の未来を描いていくことにしている。
生成AIで広がる、まちづくりの新たな可能性
SVIでは、生成AIを駆使して地域のデータを統合し、農業、漁業、交通、健康など、身の回りの多様な課題の解決を目指していく。
糸島市は都市に近い一方で、豊かな自然と多様な地域資源を持っていることから、さまざまな地域課題を解決する「モデルケース」となる可能性を秘めている。この課題解決に適した規模感(人口約10万4,000人)も、実証実験を進めやすい環境の一つの重要な条件だ。
生成AIは、地域課題を可視化し、市民や関係者の多様な意見をまとめ、新しい提案を生み出す「創造的パートナー」。これにより、市民の生活を便利にするだけでなく、市民、研究者、学生などが交流し、地域全体の一体感を高めるまちづくりが進められる。
SVIの挑戦が成功すれば、その成果は全国の地方都市にも広がるだろう。「糸島から始まる未来」は、地域社会が直面する課題への新しい解決策として希望をもたらすはずだ。
未来を共有する力がまちを育てる
2024年10月から11月にイトシマ株式会社が主催した「SVⅠまちづくり学校」では、生成AIを活用したまちづくりの新しい可能性が示された。
受講したのは高校生から70代まで、多様な背景を持つ115人(リモート受講含む)で、10年後の糸島のようすを具体的に描き出した。受講生が考える糸島の未来像に基づいて、AIが生成した画像を紹介する。
生成AIによって生み出された未来像は、市民の自由な発想と地域の課題解決を結びつけるきっかけとなり、受講生同士の意見交換を通じて多くの新しいビジョンが共有された。
共通の未来を描き、それを共有する力が、糸島の明るい未来を築く原動力となることを体感する機会となった。
(糸島新聞社ホームページに地域情報満載)