【糸島市】ドクター古藤の園芸塾Vol.157(2/20号掲載)

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不思議な現象

 野菜や草花などを育てていると、時として「えっ」って思うことがあります。美しい草花の観賞のピークが過ぎ、管理しないで放置しておいた場合、その後、いろんな現象が起きることがあります。

 例えば、昨年の4月下旬に肥料の研究用として鉢に植えたマリーゴールド。春から夏の猛暑少雨の厳しいシーズンを乗り越え咲き続けてくれました。そして、寒いこの時期、草姿を変えながら、いまだ花を咲かせています。栄養補給は、水に薄めた液体肥料を忘れたころに与えたり、丸粒の緩効性肥料をたまにパラパラと株元に転がして与えたりしたくらいです。

昨年12月のマリーゴールド

 それでも強く育つマリーゴールドはさすがです。枯れもしないマリーゴールドを観察すると、地際と株元がいびつなコブ状の硬い組織で固まっていました。過去、バラの株元で見かけた症状とそっくりの「根頭癌腫(がんしゅ)病」のようです。キク科のマリーゴールドをこれだけ長く育てたことがなく、このような症状が出たのは初めてでした。どちらかというと、マリーゴールドは土壌の害虫であるネコブセンチュウネグサレセンチュウなどを抑制する物質を根から分泌してくれる有益な植物と思っていました。

 根頭癌腫病はキク科植物に多く、細菌(アグロバクテリウム)が原因で、土壌から感染し、根元や根にイボ状の腫瘍ができるのが特徴で、マリーゴールド自体も感染源になるため注意が必要となります。バラやリンゴ、モモなどのバラ科果樹では、永年作物となりますので、さらに深刻な問題となります。

 もう一つ不思議な現象。季節外れの桜の開花。5年前の春に実家の庭に植えた桜が何輪か開花。また、今でも咲きそうなつぼみがびっしり。近くに植えている古木の梅は、まだつぼみが硬く、開花はまだ先のようです。桜の狂い咲きは、天候などいろいろな要因が絡んだ生理障害でもあるようです。

今でも開花しそうなつぼみ
桜より開花が遅くなりそうな梅のつぼみ

 そこで、糸島市の本年と昨年、30年前の1996年1月の気象観測データを調べてみました。今年1月の日平均気温は昨年とほぼ変わらず、30年前よりは0.6度高くなっています。大きな違いは、降水量の少なさ。そして、最高気温は1.7~4.2度高く、最低温度は1.1~1.3℃低くなっています。湿度は昨年より低く、日照時間は昨年より1.24倍、30年前より1.42倍長くなっており、桜の体内時計が気温や湿度、日照時間などによっておかしくなったのでしょうね。

 連日、東北の日本海側では大雪がニュースとなっていました。実は、昨年とほぼかわらない平均気温でしたが、乾燥や最高、最低気温の差などで、植物は生育環境の違いを敏感に感じていたのですね。今年も、春の訪れが早くなりそうな予感がしてきました。

(シンジェンタジャパン・アグロエコシステムテクニカルマネジャー 古藤俊二)

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古藤 俊二さん
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この記事を書いた人

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